HOKUTO編集部
11ヶ月前
Diagnosis and classification of myelodysplastic syndromes.
Blood誌に掲載された骨髄異形成症候群 (MDS) の診断・分類に関する最近のトピックスをまとめた総説を紹介します。
本論文掲載ののTable 1においては、 骨髄異形成症候群 (MDS) が疑われるような血球減少で検査すべき項目一覧が掲載されており、 以下に要約する。 例えば銅 (Cu) などは一般的には低下しないが、 亜鉛 (Zn) 製剤投与例では低下リスクがあることは重要である。
白血球 (WBC) 分画計数、 赤血球指数、 網状赤血球数を含む。 細胞減少の持続/進行を記録するために、 経時的に複数回測定する。
RBC-葉酸/S-葉酸、 コバラミン、 鉄、 総鉄結合能、 フェリチン、 銅、 乳酸脱水素酵素、 ビリルビン、 ハプトグロビン、 直接抗グロブリン試験 (直接クームス試験)、 C反応性蛋白 (CRP)、 アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT)、 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST)、 アルカリフォスファターゼ、 アルブミン、 尿酸、 クレアチニン、 S-プロテイン電気泳動 (S-免疫グロブリン)、 甲状腺機能検査、 ヘモグロビン電気泳動
HIV、 パルボウイルスB₁₉ (低形成性MDS)、 サイトメガロウイルス、 B型およびC型肝炎抗体感染の除外を目的とした血清学的検査 (免疫抑制患者はウイルス感染に対するPCR検査を要することがある)。
クローン性造血を特定し、 骨髄検査の患者候補選択に役立てることを検討すべきである。
家族歴などより患者に遺伝性骨髄不全症候群の疑いが持たれる場合は、 生殖細胞系列の遺伝子検査を検討すべきである。
Table 2においては、 各検査での気を付けるポイントの値が整理してあり参考となる。
Figure 1に挙げられるような検査をまずはスクリーニング的に行うが、 それではっきりしない場合に、 議論のあるところではあるが末梢血でパネルでの遺伝子変異解析を行うとしているところが最近の流れを反映している。 遺伝子変異のパターンでMDSの診断の一助となることも重要であるが、 最も有用なのは全く体細胞変異 (somatic mutation) が検出されない場合にMDSの否定がほぼ100%できる点である。
上記の末梢血の遺伝子変異解析で疑われる例、 もしくは遺伝子変異解析の施行が難しい場合に骨髄穿刺・生検が行われる。 既に末梢血で遺伝子変異解析が行われていた場合に骨髄でのパターンとの一致率は非常に高く繰り返して行う必要はない。
また、 MDSのみならず急性骨髄性白血病 (AML) においても生殖細胞変異 (germline mutation) の有無は忘れてはならない点である。 遺伝子変異のパターン的に生殖細胞変異が疑われる場合には、 家族性の可能性も考えると記載されている点も重要である。
形態学的な特徴ならびに遺伝子学的な特徴でグループに分けられる。 今後はさらに遺伝子変異のパターンでのグループ分けやリスク分けが一般化することが予想される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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