【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピック
著者

HOKUTO編集部

11ヶ月前

【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピック

【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピック

Diagnosis and classification of myelodysplastic syndromes.

Blood 2023年9月29日オンライン版

Blood誌に掲載された骨髄異形成症候群 (MDS) の診断・分類に関する最近のトピックスをまとめた総説を紹介します。 

解説医師

【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピック

MDSが疑われる場合の診断に有用と思われる検査

本論文掲載ののTable 1においては、 骨髄異形成症候群 (MDS) が疑われるような血球減少で検査すべき項目一覧が掲載されており、 以下に要約する。 例えば銅 (Cu) などは一般的には低下しないが、 亜鉛 (Zn) 製剤投与例では低下リスクがあることは重要である。 

全血球計算 (CBC)

白血球 (WBC) 分画計数、 赤血球指数、 網状赤血球数を含む。 細胞減少の持続/進行を記録するために、 経時的に複数回測定する。

血液検査

RBC-葉酸/S-葉酸、 コバラミン、 鉄、 総鉄結合能、 フェリチン、 銅、 乳酸脱水素酵素、 ビリルビン、 ハプトグロビン、 直接抗グロブリン試験 (直接クームス試験)、 C反応性蛋白 (CRP)、 アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT)、 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST)、 アルカリフォスファターゼ、 アルブミン、 尿酸、 クレアチニン、 S-プロテイン電気泳動 (S-免疫グロブリン)、 甲状腺機能検査、 ヘモグロビン電気泳動

血清学的検査

HIV、 パルボウイルスB₁₉ (低形成性MDS)、 サイトメガロウイルス、 B型およびC型肝炎抗体感染の除外を目的とした血清学的検査 (免疫抑制患者はウイルス感染に対するPCR検査を要することがある)。

体細胞変異 (およびコピー数多型;CNV) 解析

クローン性造血を特定し、 骨髄検査の患者候補選択に役立てることを検討すべきである。

生殖系変異分析

家族歴などより患者に遺伝性骨髄不全症候群の疑いが持たれる場合は、 生殖細胞系列の遺伝子検査を検討すべきである。

MDS疑い症例の診断と分類に用いられる血液と骨髄の形態学的特徴

Table 2においては、 各検査での気を付けるポイントの値が整理してあり参考となる。

【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピック
Diagnosis and classification of myelodysplastic syndromes. 2023. Sep.29のTable2を基に作図

MDS疑い症例での診断work-upの流れ

Figure 1に挙げられるような検査をまずはスクリーニング的に行うが、 それではっきりしない場合に、 議論のあるところではあるが末梢血でパネルでの遺伝子変異解析を行うとしているところが最近の流れを反映している。 遺伝子変異のパターンでMDSの診断の一助となることも重要であるが、 最も有用なのは全く体細胞変異 (somatic mutation) が検出されない場合にMDSの否定がほぼ100%できる点である。

上記の末梢血の遺伝子変異解析で疑われる例、 もしくは遺伝子変異解析の施行が難しい場合に骨髄穿刺・生検が行われる。 既に末梢血で遺伝子変異解析が行われていた場合に骨髄でのパターンとの一致率は非常に高く繰り返して行う必要はない。

また、 MDSのみならず急性骨髄性白血病 (AML) においても生殖細胞変異 (germline mutation) の有無は忘れてはならない点である。 遺伝子変異のパターン的に生殖細胞変異が疑われる場合には、 家族性の可能性も考えると記載されている点も重要である。

【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピック
Diagnosis and classification of myelodysplastic syndromes. 2023. Sep.29のFigure 1を基に作図

MDS subtypeの決定の流れ

形態学的な特徴ならびに遺伝子学的な特徴でグループに分けられる。 今後はさらに遺伝子変異のパターンでのグループ分けやリスク分けが一般化することが予想される。

【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピック
Diagnosis and classification of myelodysplastic syndromes. 2023. Sep.29のFigure 2Aを基に作図

関連コンテンツ

IPSS for MDS

骨髄異形成症候群の国際予後判定システム

IPSS-R

骨髄異形成症候群の改訂国際予後判定システム

WPSS

骨髄異形成症候群のWHO分類に基づく予後予測

ポストのGif画像
【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピックの全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【論文解説】MDSの診断・分類に関する最新トピック