【BMJ】ACS疑いへの高感度心筋トロポニンで心筋梗塞/死亡リスクを低減
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【BMJ】ACS疑いへの高感度心筋トロポニンで心筋梗塞/死亡リスクを低減

【BMJ】ACS疑いへの高感度心筋トロポニンで心筋梗塞/死亡リスクを低減
Lee氏らは、 急性冠症候群 (ACS) 疑いの患者を対象に、 心筋バイオマーカーの高感度心筋トロポニン測定が5年後の心筋梗塞/死亡リスクにもたらす影響について、 ステップウェッジ・クラスター無作為化比較試験High-STEACSを用いて検討。 その結果、 高感度心筋トロポニンの導入は、 ACS患者における5年後の心筋梗塞/死亡リスク低減に関連していた。 本研究はBMJ誌において掲載された。

📘原著論文

Implementation of a high sensitivity cardiac troponin I assay and risk of myocardial infarction or death at five years: observational analysis of a stepped wedge, cluster randomised controlled trial. BMJ. 2023 Nov 27:383:e075009. PMID: 38011922

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

そもそも 「ACS疑い例において、 高感度心筋トロポニン検査導入後に、 ACS以外の非虚血性心筋損傷患者でその後の心筋梗塞または死亡の減少が観察された」  というのはトロポニン検査をACS以外に広げていく必要がありそうです。

🔢関連コンテンツ

急性冠症候群 / 急性心筋梗塞

GRACEリスクスコア (退院後6ヵ月全死亡)

HEARTスコア

ESC 0-1時間アルゴリズム

急性冠症候群の除外アルゴリズム (NSTE-ACS)

研究背景

ACSにおいては高感度心筋トロポニン検査の導入により、 従来検査に比較して多くの心筋損傷および心筋梗塞の患者が同定されている。 しかし、 長期転帰の改善有無については明らかにされていなかった。

研究デザイン

対象

スコットランドの2次/3次医療センター (計10施設)の救急診療部を受診したACS疑い患者: 4万8,282例

方法

男女の性別を診断閾値として、 10施設を以下の2群に1: 1で無作為に割り付けた。

  • 高感度心筋トロポニン検査の早期導入群
少なくとも6ヵ月間は標準検査に基づいた治療を実施し、 その後高感度検査に基づき治療を行う
  • 後期導入群
最初の6ヵ月間+さらに6ヵ月間標準検査に基づいた治療を行った後、 高感度検査に基づき治療を行う

主要評価項目

5年時の心筋梗塞または全死亡

Cox比例ハザード回帰モデルを用いた全患者および高感度検査で再分類された患者において、 高感度検査導入前後の転帰を比較

研究結果

患者背景

1万360例は心筋トロポニンI濃度が99パーセンタイルを超え、 うち1,771例が高感度検査で再分類された。

心筋梗塞または死亡の発生率 (高感度検査による治療の導入前 vs 導入後)

全患者: 29.4% vs 25.9%

補正後HR 0.97 (95%CI 0.93-1.01) 

高感度検査で再分類された患者: 63.0% vs 53.9%

補正後HR 0.82 (95%CI 0.72-0.94)

高感度心筋トロポニン検査導入後、 非虚血性心筋損傷患者ではその後の心筋梗塞または死亡の減少が観察された。 

補正後HR 0.83 (95%CI 0.75-0.91) 

結論

ACS疑いの患者に対する高感度心筋トロポニン検査の導入は、 特に再分類された患者の心筋梗塞/死亡のリスクを減少させた。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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