海外ジャーナルクラブ
2年前
Torresらは、 大量出血をきたした成人外傷患者を対象に、 成分輸血を用いた大量輸血プロトコル (MTB) の補助として全血輸血を行う事は、 MTB単独に比べて生存率向上につながるかを、 後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 全血輸血は生存率の改善と関連し、 その改善は輸血後早期に認められた。 本研究は、 JAMA Surg誌において発表された。
interpreted as an association, not causation.とlimitationに書いていますが、 経験として全血の止血能の高さを実感している臨床医は多いと思います。
「全血輸血」は外傷センターの間で新たな関心を集めている。 しかし、 大量出血を呈した重症の外傷患者において、 全血輸血を用いたプロトコールが、 成分輸血を用いた大量輸血プロトコル (MTP) 単独よりも生存率が向上するというエビデンスは十分ではない。
救急外来 (ED) 到着後1時間以内に赤血球輸血を4単位以上受けた収縮期血圧90mmHg未満および🔢shock index が1以上の成人外傷患者
ED来院後24時間以内の全血輸血による蘇生術をMTP単独と比較した。
24時間後および30日後の生存率
重大な合併症、 入院期間、 ICU滞在期間
合計2785例の患者が組み入れ基準を満たした
・全血輸血群:432例 (15.5%)
・MTP単独群:2,353例 (84.5%)
全血輸血群とMTP単独群の生存曲線は、 ED受診から5時間以内に分離することが示された。
全血輸血は、 24時間後の生存率の改善と関連しており、 死亡リスクが37%低いことが示された (HR 0.63、 95%CI 0.41-0.96 P=0.03)
全血輸血群では、 30日後においても生存利益が認められた (HR 0.53、 95%CI 0.31-0.93 P=0.02)
全血輸血は、 重度の出血を呈した外傷患者の生存率の改善と関連し、 その改善は輸血後の早い時期に認められた。 本研究で得られた知見は、 重症出血を呈した外傷患者に対する全血輸血の位置付けを検討する上で、 臨床的に重要な結果である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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