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64日前

【JAMA Surg】緊急胸腔脱気を必要とする外傷患者へのPHNDは24時間死亡率の低下と関連

Muchnokらは, 緊急胸部脱気を必要とする外傷患者を対象に, 病院到着前の胸腔穿刺による脱気 (PHND) が早期死亡率の改善に与える影響を後ろ向きコホート研究で検討. その結果, 外傷患者に対するPHNDは, 外傷センターでの緊急胸腔ドレーン留置と比較して, 24時間死亡率の低下と関連していた. 本研究は, JAMA Surg誌において発表された. 

📘原著論文

Muchnok D, et al, Association of Prehospital Needle Decompression With Mortality Among Injured Patients Requiring Emergency Chest Decompression. JAMA Surg. 2022 Aug 17. doi: 10.1001/jamasurg.2022.3552. PMID: 35976642

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究は病院前での胸腔穿刺と24時間死亡率の低下の因果関係を証明したものではありません (著者もしっかりとlimitationに記載していますので, 因果と読者が取ることは危険です). また米国と日本では病院前外傷診療が異なり, 本邦では救急隊が胸腔穿刺することはありません. 仮説の提唱程度に留めるのが妥当と判断します.

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背景

PHNDは, まれではあるが救命処置となりうるものである. 外傷患者における胸腔脱気術に関する先行研究は小規模で, 単一の施設またはEMS機関に限られており, 適切な比較対象群がないため, この介入の有効性は不明であった.

研究デザイン

  • Pennsylvania Trauma Outcomes Studyのデータベースを用いて実施した後ろ向きコホート研究.
  • 対象:負傷現場から搬送された 15 歳以上の患者.
  • PHND はないが外傷センター到着後 15 分以内に胸腔ドレナージを受けた患者を, PHND の恩恵を受けている可能性のある比較群とした.
  • 主要評価項目:患者要因およびEMS機関要因間のPHNDの変動, およびリスク調整後の24時間死亡率とPHNDとの関連.

研究結果

  • PHND発生率は0.2~0.5%の間で安定していた.
  • PHND発生率のばらつきの43%は患者要因で, 57%はEMS要因であった.
  • PHNDは24時間死亡率を25%減少と関連した.
OR 0.75, 95%CI 0.61-0.94, P=0.01
  • 同様の結果は, 救急室を生存退室した患者 (OR 0.68, 95%CI 0.52-0.89, P<0.01) , 重度の外傷性脳損傷を除く患者 (OR 0.65, 95%CI 0.45-0.95, P=0.03) , および重度の胸部損傷の患者 (OR 0.72, 95%CI 0.55-0.93, P=0.01) において認められた.
  • PHNDは, 傾向スコアマッチング後 (OR 0.79, 95%CI 0.62-0.98, P=0.04) , 同じEMSの医療サービス水準でマッチさせた場合 (OR 0.74, 95%CI 0.56-0.99, P=0.04) , および変数プロビット回帰解析でみた場合 (係数-0.60, 95%CI -1.04--0.16, P<0.01) においても, 24時間死亡率の低下と関連していた.

結論

PHNDは外傷患者における外傷センターでの緊急胸腔ドレナージと比較して, 24時間死亡率の低下と関連していた. まれにしか行われないが, PHNDは救命処置となりうるため, 適切に選択された外傷患者に対するEMS教育で強化されるべきであろう.

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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