海外ジャーナルクラブ
2年前
Conradieらは, 多剤耐性結核の患者を対象に, ベダキリン・プレトマニド・リネゾリド併用療法の有効性を維持しつつ, 副作用を最小限とするためのリネゾリドの最適投与量・投与期間を無作為化比較試験で検討 (ZeNix試験) . その結果, リネゾリド600mgを26週間投与した3剤併用療法群が有害事象の発生率が少なく, リネゾリドの用量変更も少なかった. 本研究は, NEJM誌において発表された.
NEJM2020に掲載された先行研究では, リネゾリド:1200mg26週間のレジメンで末梢神経障害が81%, 骨髄抑制が48%でした. そのため今回の研究結果で600mg26週間に微調整できることとなりそうです. 4群の比較でデータのばらつきがありますが, 実際のヒューマンデータのため仕方ない部分かと思います.
肺結核の治療スケジュールと腎機能別投与量まとめ (専門医寄稿)
ベダキリン・プレトマニド・リネゾリド併用療法は, 高度薬剤耐性結核に対して90%の有効性が報告されているが, リネゾリド1日1200mg投与時の有害事象発生率は高い.
181名の患者の内, 88%がXDR-TBまたはプレXDR-TBであった.
リネゾリド1200mg26週間・9週間投与群, 600mg26週間・9週間投与群のいずれも良好な転帰が得られた.
末梢神経障害の発生率
骨髄抑制の発生率
リネゾリドの投与量変更 (中断, 減量, 中止)
視神経障害は, リネゾリド1200mgを26週間投与した分の9% (4例) に発現したが, 全例で消失した.
78週間の追跡調査期間中に発生した好ましくない細菌学的転帰7例のうち6例が, リネゾリド 9週間投与群において生じた.
4つの治療群すべてにおいて, 84~93%の参加者が良好な転帰を示した. リスク・ベネフィットの総合評価では, リネゾリド600mgを26週間投与した3剤併用療法群が有利であり, 有害事象の発生率が低く, リネゾリドの用量変更も少なかった.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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