海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
英国のCamachoらは、 経口NSAIDsが高齢者や心不全、 慢性腎疾患などの処方高リスク患者に与える影響を、 集団ベースのコホート研究と経済モデリングを用いて評価した。 結果、 NSAIDsの不適切な処方による英国全体での10年間の総QALY損失は6,335と推計され、 約60.0億円 (3,143万ポンド) の医療費増加が見込まれた。 本研究の成果はBMJに発表された。
BMJなので、 実臨床にすぐに応用できる結果やクリアな記載を期待しましたが、 論文の"What this work adds, and implications for prescribers and policy makers"の項には、 実臨床にすぐ展開できるような具体的な記載はありませんでした。
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) は、 疼痛や炎症を和らげる一方、 以下のような処方高リスク群において、 消化管出血や腎障害、 心血管系の問題を引き起こす可能性があるとされる。
①高齢者 (≧65歳)で、 胃粘膜保護薬なし
②消化性潰瘍既往ありで、 胃粘膜保護薬なし
③経口抗凝固薬と経口NSAIDの併用
④心不全患者
⑤慢性腎臓病患者
本研究では、 これら5つの高リスク群に対するNSAIDs処方割合や、 患者への影響、 医療費の増加率などを検証・推計した。
高リスク処方の頻度が最も高かったのは、 「胃腸保護薬が処方されていない高齢者」で、 1000人あたり1.70であった。 英国全体で1,929QALYs*¹の損失が生じ、 医療費は246万ポンド*² (約4.7億円) 増加すると推計された。
一方、 「経口抗凝固薬と経口NSAIDの併用患者」では、 有害処方イベントの頻度はそれほど高くないにもかかわらず、 英国全体で2,143QALYs*¹とより大きな損失が生じ、 医療費増加額も2,541万ポンド*² (約48.5億円) と大きかった。
結果、 英国全体で10年間の総QALY損失は6,335*¹と推計され、 医療費増加額は3,143万ポンド*² (約60.0億円) であった。
なお、 結果詳細は以下のとおりであった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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