海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Sytsmaらは、 コルチコステロイド注射 (CSI) を受けた患者を対象に、 累積CSI投与量が骨折リスクに与える影響をコホート研究で検討した。 その結果、 累積CSI投与量と骨折リスクに関連は認められなかった。 本研究はJAMA Netw Openで発表された。
圧迫骨折などの椎体骨折でclinically silentの骨折は含まれていないことは、 大きなlimitationと言えます。
CSIは、 多くの筋骨格系疾患における疼痛緩和のための重要な手段であるが、 これらの治療が骨の健康と骨折リスクに及ぼす長期的な影響は不明である。 そこで本研究は、 累積CSI投与量が、 その後の骨粗鬆症性骨折および非骨粗鬆症性骨折の高いリスクと関連するかどうかを明らかにすることを目的とした。
2018年5月1日~2022年7月1日にCSIを受けた成人患者7,197例を対象としたコホート研究。 患者はミネソタ州オルムステッド郡に居住し、 メイヨークリニック内でプライマリケアを受けた。
Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、 コルチコステロイドの累積注射量に基づく骨折リスクを評価した。
累積CSI投与量 (トリアムシノロン当量) 毎の骨折リスク
以下のサブグループにおける、 累積CSI投与量 (トリアムシノロン当量) 毎の骨折リスク
試験期間中に、 新規骨折が7,197例*のうち346例 (4.8%) で発生した。
また、 新規骨折が発生した346例のうち、 149例 (43.1%) が骨粗鬆症と考えられた。
累積CSI投与量 (トリアムシノロン当量80mgあたり) と骨折リスク増加との関連は認められなかった。
調整HR : 1.04 (95%CI 0.96-1.11)
いずれのサブグループにおいても、 累積CSI投与量 (トリアムシノロン当量80mgあたり) と骨折リスク増加との関連は認められなかった。
骨折リスクが高くない患者のサブグループ
調整HR : 1.11 (95%CI 0.98-1.26)
骨粗鬆症患者のサブグループ
調整HR : 1.01 (95%CI 0.90-1.11)
一方、 骨折リスク増加と関連していた因子は、 年齢、 チャールソン併存疾患指数 (CCI)、 骨折の既往であった。
著者らは 「このコホート研究では、 累積CSI投与量とその後の骨折のリスクとの間に関連は認められなかった。 この結果は、 骨粗鬆症患者でも同様であった。 疼痛のある状態に対するCSIによる治療を、 骨折リスクを懸念して控えたり遅らせたりすべきではない」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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