海外ジャーナルクラブ
13日前
Wehbeらは、 米国の三次医療施設で大腸内視鏡検査を受けた18~44歳の成人を対象として、 45歳未満において同検査を受けるべき成人の特定を目的に、 進行性腫瘍の発症率を予測するモデルを、 横断的解析により開発・検証した。 その結果、 危険因子に基づき開発された簡便な予測スコアの精度は中程度であり、 このスコアが45歳未満の大腸癌スクリーニングの個別化戦略を策定に有用である可能性が示唆された。 研究結果はDig Dis Sci誌に発表された。
このリスクスコアは最高12点で構成されており、 点数が高いほど進行性腫瘍のリスクが高くなります。
例えば、 BMI 30以上は3点、 大腸癌の家族歴 (60歳未満の一親等の近親者) は5点、 現喫煙者は3点、 男性は1点とされています。
若年発症大腸癌 (EOCRC) と呼ばれる、 50歳未満の成人で診断される大腸癌が、 過去数十年にわたって世界的に大幅に増加している。
2023年には、 米国で新たに診断された大腸癌症例の約13%がEOCRCであり、 そのうち43%が45~49歳であったことから、 EOCRC症例の大部分は45歳未満で診断されたと推定される。 一方で、 米国では現在、 45歳未満の大腸癌スクリーニングが推奨されていない¹⁾。
そこでこの研究では、 45歳未満において大腸内視鏡検査を受けるべき成人の特定を目的に、
進行性腫瘍発症率を予測するモデルを開発・検証した。
米国の3次医療施設で大腸内視鏡検査を受けた18~44歳の成人9,446例を対象に横断的解析が実施され、 以下の2群に分類された。
ランダムに抽出されたトレーニングセットにおいて、 危険因子と進行性腫瘍の有無との間の有意な関連 (p<0.05) に基づき、 後方除去法 (backward elimination) を用いた多変量ロジスティック回帰分析によりモデルが開発され、 検証された。
トレーニングセットに基づくロジスティック回帰分析で、 BMI (p=0.0157)、 大腸癌の家族歴 (第一度近親者で60歳未満 p<0.0001、 その他 p=0.0117)、 および喫煙 (現喫煙者 vs 非喫煙者 p=0.0015、 元喫煙者 vs 喫煙歴なし p=0.0009) が進行性腫瘍の危険因子として特定された。
検証により、 開発された予測スコアの精度は中程度であった。 予測スコアを用いて全データセットにおける進行性腫瘍の発症率を推定したところ、 スコアが1点で1.8%、 9点以上で14%超と推定された。
著者らは 「開発されたスコアが、45歳未満の成人の進行性腫瘍発症率を予測するツールとして有用であることが確認された。 このスコアが45歳未満の大腸癌スクリーニングの個別化戦略を策定する上で有用である可能性が示唆された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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