海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前

Stoopらは、 限局性膵腺癌患者を対象に、 術前FOLFIRINOX療法のサイクル数および術後補助化学療法のレジメンが全生存期間 (OS) に及ぼす影響を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 術後多剤併用化学療法はOS延長と関連するが、 単剤療法ではその関連が認められなかったことが明らかとなった。 本研究はJAMA Oncologyにて発表された。
JAMA特有のMeaningには、 「特定のサブグループでは術後化学療法の効果が低いばかりではなく無効の可能性があるため、 さらなる研究を要する」 と慎重に記載されています。
膵腺癌の周術期治療において、 術前FOLFIRINOX療法後の術後化学療法がOSに及ぼす影響は明らかではない。 従来の研究では、 術前化学療法のサイクル数や術後化学療法のレジメンを十分に考慮していないことが課題とされてきた。
そこで本研究では、 これらの要因を踏まえ、 術前FOLFIRINOX療法後の術後化学療法とOSの関連を検討することを目的とした。
20ヵ国48施設で、 術前FOLFIRINOX療法*¹を2~11サイクル実施し、 その後切除を受けた限局性膵腺癌患者767例*²を後ろ向きに調査した。
対象患者を術後化学療法実施の有無で群分けし、 OSを比較した。 また、 術前FOLFIRINOX療法のサイクル数、 術後化学療法のレジメン、 術前FOLFIRINOX療法の治療効果でサブグループ解析を行った。
術後補助化学療法の実施は、 OS延長と有意に関連した (HR 0.66 [95%CI 0.49-0.87])。 この関連性は、 調整OS曲線によっても確認された。
術後化学療法として (m) FOLFIRINOX または他の多剤併用化学療法を行った患者群では、 化学療法を行わなかった患者群と比べてOSの有意な延長と関連していた。 一方で、 単剤療法群ではOSの有意な延長は認められなかった。
サブグループ解析では、 術前 (m) FOLFIRINOX を8サイクル以上受けた患者、 放射線学的奏効を得た患者、 ypN0病変を有する患者では、 術後化学療法によるOS延長効果が相対的に小さい傾向を認めた。 ただし、 統計的に有意な交互作用は認められなかった。
著者らは、 「術前 (m) FOLFIRINOX療法後の術後化学療法 (特に多剤併用) がOS延長と関連する一方で、 特定のサブグループでは術後化学療法の効果が低い可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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