海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Gaoらは、 非重症のインフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性を評価するため、 複数のデータベースより関連する試験を抽出し、 システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。 その結果、 バロキサビルは高リスク患者の入院リスクを低減し、 症状持続時間を短縮する可能性が示された。 本研究はJAMA Intern Med誌にて発表された。
バロキサビル一択という結論ですが、 may、 probablyを使用して慎重な表現にとどまっています。
非重症のインフルエンザの治療に最適な抗ウイルス薬は依然として不明である。 そこで本研究では、 これらの抗ウイルス薬の有効性を比較評価した。
MEDLINE、 Embase、 CENTRAL、 CINAHL、 Global Health、 Epistemonikos、 およびClinicalTrials.govより、 非重症インフルエンザ患者の治療として直接作用型抗インフルエンザウイルス薬をプラセボ、 標準治療、 他の抗ウイルス薬と比較した73件の無作為化比較試験における3万4,332例を抽出し、 システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。
主な評価項目は、 死亡率、 入院、 集中治療室への入院、 入院期間、 症状持続期間、 耐性の出現、 有害事象などであった。
すべての抗ウイルス薬は、 標準治療またはプラセボと比較して、 低リスクおよび高リスク患者の死亡率にほとんど影響を及ぼさなかった (エビデンスの確実性 : 高)。
また、 すべての抗ウイルス薬 (ペラミビルとアマンタジンはデータなし) は、 低リスク患者の入院にほとんど影響を及ぼさなかった (エビデンスの確実性 : 高)。
バロキサビル
高リスク患者の入院リスクを低減した可能性があり (リスク差[RD] -1.6%[95%CI -2.0-0.4%]、 低確実性)、 症状持続期間を短縮した可能性が高かった (平均差[MD] -1.02日[95%CI -1.41日--0.63日]、 エビデンスの確実性 : 中)。
また、 治療関連有害事象(TRAE)の発現はほとんど認められなかった (RD -3.2%[95%CI -5.2%--0.6%]、 エビデンスの確実性 : 高)。
オセルタミビル
入院 (RD-0.4%[95%CI -1.0%-0.4%]、 エビデンスの確実性 : 高) および症状持続時間短縮 (MD -0.75日[95%CI -0.93日--0.57日]、 エビデンスの確実性 : 中) への影響がほとんど認められず、 TRAEが増加した可能性がある (エビデンスの確実性 : 中)。
Umifenovir (本邦未承認)
症状持続時間を短縮した可能性がある (MD -1.10日[95%CI -1.57日--0.63日]、 エビデンスの確実性 : 低)。
著者らは 「バロキサビルは非重症インフルエンザにおいて、 高リスク患者の入院リスクを低減し、 症状持続時間を短縮する可能性があることが判明した。 他の抗ウイルス薬は有効性が限定的または不確実であった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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