【Lancet Haematol】高齢多発性骨髄腫に有効な4剤併用療法とは?
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【Lancet Haematol】高齢多発性骨髄腫に有効な4剤併用療法とは?

【Lancet Haematol】高齢多発性骨髄腫に有効な4剤併用療法とは?
Askelandらは、 自家造血幹細胞移植非適応の新規診断多発性骨髄腫患者を対象に、 イサツキシマブ、 ボルテゾミブ、 レナリドミド、 および限定的なデキサメタゾン併用療法の安全性と有効性を検討した。 その結果、 本治療法が高齢患者の初回治療として有効かつ安全であることが示された。 本研究はLancet Haematol誌にて発表された。

📘原著論文

Isatuximab, bortezomib, lenalidomide, and limited dexamethasone in patients with transplant-ineligible multiple myeloma (REST): a multicentre, single-arm, phase 2 trial. Lancet Haematol. 2025 Feb;12(2):e120-e127. PMID: 39909655.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Lancet特有のInterpretationには、 有効性を大変ユニークな"active"という言葉を用いて"Isatuximab, weekly bortezomib, and lenalidomide with limited dexamethasone was active and safe"と記載されています。

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多発性骨髄腫、 VRd療法へのイサツキシマブ併用が奏効

N Engl J Med. 2024 Oct 31;391(17):1597-1609.

目的

限定的にデキサメタゾンを用いた場合の安全性、 有効性の評価

多発性骨髄腫の治療において、 抗CD38モノクローナル抗体を標準療法に追加することで転帰を改善することが示されている¹⁾。 一方、 長期間の副腎皮質ステロイド投与は感染リスクを増加させる要因となる。

本研究では、 新たに診断された自家造血幹細胞移植が非適応の多発性骨髄腫患者を対象に、 抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ、 週1回投与のボルテゾミブとレナリドミド、 および2サイクルのみのデキサメタゾンを組み合わせた治療の安全性および有効性を評価することを目的とした。

研究デザイン

主要評価項目は、 測定可能残存病変陰性の完全奏効

以下の3条件を満たす多発性骨髄腫と新たに診断された成人患者を対象に、 多施設共同の単群第Ⅱ相試験を行った。

  • 国際骨髄腫ワーキンググループの基準に基づき測定可能な病変を有する
  • 高用量メルファラン投与および自家造血幹細胞移植が非適応
  • ECOG PS 0–3
PS 3は骨髄腫関連の場合のみ許容

28日サイクルで、 以下の薬剤を投与した。

  • イサツキシマブ (10 mg/kg)
1サイクル : 1、 8、 15、 22日目に静脈内投与
2~18サイクル : 1、 15日目に静脈内投与
  • ボルテゾミブ (1.3 mg/m²)
1~8サイクル : 1、 8、 15日目に皮下投与
  • レナリドミド (25 mg)
1~21日目に経口投与 (進行が認められるまで継続)
  • デキサメタゾン (20 mg)
1、 8、 15、 22日目に経口投与 (最初の2サイクルのみに限定)

主要評価項目は、 18サイクルの治療中または治療後に、 次世代フローサイトメトリーにより評価された測定可能残存病変陰性の完全奏効であった。

結果

2021年6月30日~23年1月19日に51例が登録 (女性27例 [53%]、 男性24例 [47%] ) され、 年齢の中央値は77歳 (IQR 73.5–80) であった。 39例がプロトコル通り18サイクルの治療を完遂し、 うち2例は治療中断後もプロトコルに従い評価した。

37%が完全奏効を達成

追跡期間中央値27.0ヵ月 (IQR 23.0-33.7) において、 19例 (37% [95%CI 25.3–51.0] ) が測定可能残存病変陰性完全奏効を達成した。

治療期間の中央値は22ヵ月 (IQR 15.2–28.8、 範囲 1.4–35.1) であった。 18例 (35%) で疾患進行または死亡が確認され、 8例 (16%) が死亡した。

約半数で重篤な有害事象を確認

グレード3または4の有害事象の発生率 (最初の18サイクル) は以下の通りだった。

  • 好中球減少症 : 28例 (55%)
  • 感染症    : 21例 (41%)
  • 血小板減少症 : 11例 (22%)

重篤な有害事象 (グレード3以上) は48件 (27例 [53%] ) 確認され、 14例 (27%) が19サイクル開始前に治療中止 (疾病進行8例 [16%]、 有害事象4例 [8%] ) した。 死亡2例 (肺炎1例、 敗血症1例) は、 治療関連の可能性があると評価された。

結論

デキサメタゾンを2サイクル限定にしても有効かつ安全

筆者らは、 「イサツキシマブ、 週1回投与のボルテゾミブ、 レナリドミド、 および2サイクル限定のデキサメタゾン併用療法は、 自家造血幹細胞移植非適応の高齢多発性骨髄腫患者の初回治療として有効かつ安全であった。 本レジメンは、 デキサメタゾン投与を2サイクル後に省略する修正4剤併用療法として、 この患者群に適用可能である」 と報告している。


<出典>
1) N Engl J Med. 2024 Oct 31;391(17):1597-1609.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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