海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Askelandらは、 自家造血幹細胞移植非適応の新規診断多発性骨髄腫患者を対象に、 イサツキシマブ、 ボルテゾミブ、 レナリドミド、 および限定的なデキサメタゾン併用療法の安全性と有効性を検討した。 その結果、 本治療法が高齢患者の初回治療として有効かつ安全であることが示された。 本研究はLancet Haematol誌にて発表された。
Lancet特有のInterpretationには、 有効性を大変ユニークな"active"という言葉を用いて"Isatuximab, weekly bortezomib, and lenalidomide with limited dexamethasone was active and safe"と記載されています。
多発性骨髄腫の治療において、 抗CD38モノクローナル抗体を標準療法に追加することで転帰を改善することが示されている¹⁾。 一方、 長期間の副腎皮質ステロイド投与は感染リスクを増加させる要因となる。
本研究では、 新たに診断された自家造血幹細胞移植が非適応の多発性骨髄腫患者を対象に、 抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ、 週1回投与のボルテゾミブとレナリドミド、 および2サイクルのみのデキサメタゾンを組み合わせた治療の安全性および有効性を評価することを目的とした。
以下の3条件を満たす多発性骨髄腫と新たに診断された成人患者を対象に、 多施設共同の単群第Ⅱ相試験を行った。
28日サイクルで、 以下の薬剤を投与した。
主要評価項目は、 18サイクルの治療中または治療後に、 次世代フローサイトメトリーにより評価された測定可能残存病変陰性の完全奏効であった。
2021年6月30日~23年1月19日に51例が登録 (女性27例 [53%]、 男性24例 [47%] ) され、 年齢の中央値は77歳 (IQR 73.5–80) であった。 39例がプロトコル通り18サイクルの治療を完遂し、 うち2例は治療中断後もプロトコルに従い評価した。
追跡期間中央値27.0ヵ月 (IQR 23.0-33.7) において、 19例 (37% [95%CI 25.3–51.0] ) が測定可能残存病変陰性完全奏効を達成した。
治療期間の中央値は22ヵ月 (IQR 15.2–28.8、 範囲 1.4–35.1) であった。 18例 (35%) で疾患進行または死亡が確認され、 8例 (16%) が死亡した。
グレード3または4の有害事象の発生率 (最初の18サイクル) は以下の通りだった。
重篤な有害事象 (グレード3以上) は48件 (27例 [53%] ) 確認され、 14例 (27%) が19サイクル開始前に治療中止 (疾病進行8例 [16%]、 有害事象4例 [8%] ) した。 死亡2例 (肺炎1例、 敗血症1例) は、 治療関連の可能性があると評価された。
筆者らは、 「イサツキシマブ、 週1回投与のボルテゾミブ、 レナリドミド、 および2サイクル限定のデキサメタゾン併用療法は、 自家造血幹細胞移植非適応の高齢多発性骨髄腫患者の初回治療として有効かつ安全であった。 本レジメンは、 デキサメタゾン投与を2サイクル後に省略する修正4剤併用療法として、 この患者群に適用可能である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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