HOKUTO編集部
4日前
2024年9月に 「嚥下障害診療ガイドライン2024年版 (第4版)」 が日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会より発刊された。 ガイドラインや最新の知見を基に、 嚥下障害のマネジメントについて概説する。
嚥下障害が疑われる際は、 以下の問診を行う。
固形物もしくは液体でむせるか、 進行有無
経口摂取の状況* (食事形態、 摂食時間、 補助栄養や介助要否など)、 体重減少の有無など (急激に減少していないか)
生活の場や家族構成、 介護保険申請の有無
特に脳血管障害、 神経筋疾患、 頭頸部疾患 (手術歴・放射線治療歴)、 誤嚥性肺炎など
嚥下障害の原因とその薬剤は以下のとおり。
- 錐体外路徴候
- 過鎮静
- 口腔乾燥
- 食道粘膜の障害
- 下部食道括約筋圧の低下
スクリーニングとしては以下が知られている。
- SDQ
- DHI
- SWAL-QOL、 SWAL-CARE
- 聖隷式嚥下質問紙
- Mini-mental State Examination (MMSE)
診察時のチェックポイントを以下に示す。
嚥下障害診断時に行われる検査を以下に示す。
その他の検査実施時にも、 連続してモニタリングを行うことが推奨される。
呼吸音の聴診、 咳嗽・喀痰の状態も評価する。
患者の喉頭隆起および舌骨に検者の指をあて、 30秒間に空嚥下できる回数を計測する。
30秒間に3回未満の場合を陽性 (嚥下障害あり)と評価する。
3mLの冷水を口腔底に注ぎ、 嚥下動作を2回行う。 むせ込みの有無、 呼吸状態の変化、 声の変化を確認する。
評価点が4点以上であれば、 最大2回テストを行い、 最も悪いものを評価点とする。
評価基準
1) 嚥下なし、 むせる and/or 呼吸切迫
2) 嚥下あり、 呼吸切迫
3) 嚥下あり、 呼吸良好、 むせる and/or 湿性嗄声
4) 嚥下あり、 呼吸良好、 むせなし
5) 上記4)に加え、 反復嚥下が30秒以内に2回可能
意識レベルや呼吸状態、 食塊のクリアランス (口腔内残留) や口腔通過時間など24項目を点数化して評価する。
覚醒状態や咳払い、 唾液嚥下といった予備テストと、 半固形・液体・固形の食塊の嚥下テストを点数化し、 食形態を提案する。
ティースプーン一杯のプリン(約4g)を嚥下してもらい、 嚥下後に口腔内を観察し、 残留の有無・位置・量を確認する。
- 兵頭スコア
- 嚥下造影検査
- 嚥下圧検査 (マノメトリー検査)
嚥下障害と判明した際の対応を以下に示す。
液体の場合 : とろみをつける
固体の場合 : ばらけやすい刻みを避ける など
体幹や上肢・下肢などの部分および全体を総合的に見たうえで、 安定した姿勢を保つ。
間接訓練 (基礎訓練)
直接訓練 (摂食訓練)
リハビリテーションや外科的治療が目的
ただし、 経口摂取が困難な状況でも、 誤嚥のリスク評価が前進管理および方針決定に寄与することがある。 適切な状況把握および情報共有に努める。
また、 全身状態や意識レベルの変化・改善により積極的な治療が可能となることもある。 関係各所と情報共有を行い、 必要に応じて再評価・対応方針の見直しを行う。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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