海外ジャーナルクラブ
2年前
Chasséらは、 赤血球輸血を受ける患者を対象に、 ドナー (供血者) の性別がレシピエント (受血者) の死亡率に与える影響を多施設共同二重盲検ランダム化比較試験で検討。 その結果、 女性ドナーと男性ドナーの赤血球ユニットによる輸血戦略間で生存率に有意差はなかった。 本研究はNEJM誌において発表された。
元々男女のドナー差で死亡率2%としてのサンプルサイズの設定でした。 割り付けが1:1ではなく6:4であり、 これは少し差が出にくくなる方向に作用します。 少し感覚論になってしまうのですが、 本当に全く差がなければ、 ほぼ完全に死亡率で男女ドナーで一致してほしいところです。 実臨床に有意な (大きな) 影響を与えるほどの差はない、 という理解でも良いかと思います。
赤血球提供者の性別と輸血レシピエントの死亡率との関連について、 相反する観察的エビデンスが存在するが、 輸血の実践や政策に役立つエビデンスは限られている。
赤血球輸血を受ける患者。
患者は男性ドナーまたは女性ドナーのいずれかから赤血球を受け取るように6:4の割合で無作為に割り付けられた。
男性ドナー群:5,190例
女性ドナー群:3,529例
生存率 (男性ドナー群を基準群とした)。
79.9% (6,969例) が入院患者であり、 そのうち42.2% (2,942例) は外科病棟に入院していた。
Hb値:79.5±19.7g/L
全生存期間の主要解析では、 死亡の調整済みHRは0.98 (95%CI 0.91-1.06) でだった。
女性ドナーからの赤血球ユニットと男性ドナーからの赤血球ユニットの輸血戦略間で生存率に有意差はなく、 赤血球提供者の性別による輸血レシピエントの死亡率への影響は限定的である。 今後の研究で、 さらに詳細な影響評価が求められる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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