【NEJM】輸血ドナーの性別、受血者の生存率には影響せず
著者

海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】輸血ドナーの性別、受血者の生存率には影響せず

【NEJM】輸血ドナーの性別、受血者の生存率には影響せず
Chasséらは、 赤血球輸血を受ける患者を対象に、 ドナー (供血者) の性別がレシピエント (受血者) の死亡率に与える影響を多施設共同二重盲検ランダム化比較試験で検討。 その結果、 女性ドナーと男性ドナーの赤血球ユニットによる輸血戦略間で生存率に有意差はなかった。 本研究はNEJM誌において発表された。 

📘原著論文

Effect of Donor Sex on Recipient Mortality in Transfusion. N Engl J Med. 2023 Apr 13;388(15):1386-1395.PMID: 37043654

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

元々男女のドナー差で死亡率2%としてのサンプルサイズの設定でした。 割り付けが1:1ではなく6:4であり、 これは少し差が出にくくなる方向に作用します。 少し感覚論になってしまうのですが、 本当に全く差がなければ、 ほぼ完全に死亡率で男女ドナーで一致してほしいところです。 実臨床に有意な (大きな) 影響を与えるほどの差はない、 という理解でも良いかと思います。

🔢関連コンテンツ

赤血球輸血によるHbの上昇予測

赤血球輸血によるHbの上昇予測の推算式

血小板輸血によるPltの上昇予測

血小板輸血によるPltの上昇予測の推算式

CCI (補正血小板増加数)

輸血後1時間後または20時間後の血小板増加数

背景

赤血球提供者の性別と輸血レシピエントの死亡率との関連について、 相反する観察的エビデンスが存在するが、 輸血の実践や政策に役立つエビデンスは限られている。

研究デザイン

対象

赤血球輸血を受ける患者。

介入

患者は男性ドナーまたは女性ドナーのいずれかから赤血球を受け取るように6:4の割合で無作為に割り付けられた。

男性ドナー群:5,190例

女性ドナー群:3,529例

主要評価項目

生存率 (男性ドナー群を基準群とした)。

研究結果

初回輸血の設定

79.9% (6,969例) が入院患者であり、 そのうち42.2% (2,942例) は外科病棟に入院していた。

輸血前のベースラインのヘモグロビン(Hb)値

Hb値:79.5±19.7g/L

輸血した赤血球

  • 男性ドナー群:平均5.1±8.9単位
  • 女性ドナー群:平均5.4±10.5単位
差 0.3単位、 95%CI -0.1-0.7

試験期間中の死亡

  • 男性ドナー群:1,712例
  • 女性ドナー群:1,141例

死亡の調整済みハザード比 (HR)

全生存期間の主要解析では、 死亡の調整済みHRは0.98 (95%CI 0.91-1.06) でだった。

結論

女性ドナーからの赤血球ユニットと男性ドナーからの赤血球ユニットの輸血戦略間で生存率に有意差はなく、 赤血球提供者の性別による輸血レシピエントの死亡率への影響は限定的である。 今後の研究で、 さらに詳細な影響評価が求められる。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【NEJM】輸血ドナーの性別、受血者の生存率には影響せず