海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Weiらは、 体外受精 (IVF) 治療予後が不良の女性を対象に、 全胚凍結移植と新鮮胚移植の有効性を比較する多施設共同無作為化比較試験を実施した。 その結果、 新鮮胚移植は全胚凍結移植と比べて生児出生率が高く、 有用な選択肢である可能性が示された。 本研究はBMJ誌にて発表された。
プロトコル化せず、 試験実施施設の臨床ルーチンに従った点をlimitationとして挙げています。
従来、 IVF治療の結果が正常または良好な女性を対象とした複数の無作為化試験において、 全胚凍結移植は新鮮胚移植と比べて同等または高い生児出生率が認められた。 一方、 IVF治療の予後が不良な女性におけるエビデンスは限定的であった。
本研究では、 「IVF治療予後が不良の女性において、 全胚凍結移植は新鮮胚移植と比べて生児出生率が高い」 という仮説を立て、 無作為化比較試験で検証した。
中国の不妊治療センター9施設において、 採取卵子数が9個以下または "卵巣予備能が低い" と定義*されたIVF治療予後が不良の女性838例が、 卵子採取日において以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は生児出生 (妊娠28週以上で心拍および呼吸のある新生児の分娩) であった。
副次評価項目は、 臨床的妊娠、 単胎または双胎妊娠、 妊娠喪失、 子宮外妊娠、 出生体重、 母体および新生児の合併症、 無作為化後1年以内の胚移植後累積生児出生であった。
主要評価項目である生児出生率は、 intention-to-treat (ITT) 解析において、 全胚凍結移植群が新鮮胚移植群と比べて有意に低かった (32% vs 40%、 相対リスク [RR] 0.79 [95%CI 0.65-0.94]、 p=0.009)。
副次評価項目である臨床妊娠率および無作為化後1年以内の胚移植後累積生児出生率においても、 全胚凍結移植群が新鮮胚移植群と比べて有意に低かった (臨床妊娠率 : 39% vs 47%、 RR 0.83 [95%CI 0.71-0.97]、 累積生児出生率 : 44% vs 51%、 RR 0.86 [95%CI 0.75-0.99])。
出生体重、 産科合併症の発生率、 新生児罹患リスクには差が認められなかった。
著者らは 「IVF治療予後が不良の女性では、 生児出生率の観点で、 新鮮胚移植が全胚凍結移植と比べて有用な選択肢である可能性が示された。 新鮮胚移植を補完する治療戦略*について、 さらなる研究が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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