海外ジャーナルクラブ
2年前
Cooperbergらは、 低リスク前立腺癌患者を対象にした監視療法 (アクティブサーベイランス:AS) の使用に関する経時的傾向と実診療所や医師レベルのばらつきを前向きコホート研究の後ろ向き分析で検討。 その結果、 全国的な地域ベースのAS実施率は増加しているが、 依然として最適とはいえない状態であり、 診療所や開業医によって大きなばらつきがあることがわかった。 本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。
数学的な考え方をすると、 本研究のように何かの指標が急増した場合には、 変動性(variability) も増加するので当然ばらつきます。 例えば、 ある患者群の血糖値でも血糖値の平均が高い患者群の実際の血糖値は大きくばらつきます。 ASの使用率が急激に増加しているのでばらついてくるのは仕方なくて、 今後このばらつきが抑えられるとさらなる緩やかな増加が期待されるでしょう。
ASは、 低リスク前立腺がんの管理において、 臨床ガイドラインで推奨される戦略であるが、 現代の実臨床での使用状況はいまだ完全には定義されていない。
前立腺特異抗原 (PSA) <10ng/mL、 グリソンスコアがグレード1群、 臨床病期T1cまたはT2aの低リスク前立腺がん患者
患者の年齢、 人種、 PSA値、 泌尿器科医療機関および泌尿器科開業医の個人などの情報を取り上げた。
一次治療におけるASの使用率
ASの使用率は、 2014年の26.5%から2021年の59.6%へ急増した。
泌尿器科医療機関のASの使用率は4.0%から78.0%の範囲でばらつきがあった。
開業医のASの使用率は0%から100%の範囲でばらつきがあった。
多変量解析では、 診断年がASと最も強く関連しており、 年齢、 人種、 診断時のPSA値もASのオッズとの関連が見られた。
AQUAレジストリのAS率に関するこのコホート研究では、 全国的な地域ベースのAS率は増加しているが、 依然として最適とはいえない状態であり、 診療所や医師によって大きな差があることがわかった。 低リスクの前立腺がんの過剰治療を最小限に抑え、 ひいては国家的な前立腺がん早期発見努力の利益対損失比を改善するためには、 この重要な品質指標を継続的に改善することが不可欠である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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