【postMONARCH】CDK4/6阻害薬+ETで進行のHR+HER2-乳癌、 アベマシクリブ併用でPFS改善
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HOKUTO編集部

5ヶ月前

【postMONARCH】CDK4/6阻害薬+ETで進行のHR+HER2-乳癌、 アベマシクリブ併用でPFS改善

【postMONARCH】CDK4/6阻害薬+ETで進行のHR+HER2-乳癌、 アベマシクリブ併用でPFS改善
CDK4/6阻害薬+ET治療後にPDを認めたHR陽性HER2陰性進行乳癌に対するCDK4/6阻害薬アベマシクリブ+抗エストロゲン薬フルベストラントの併用療法の効果を、 プラセボ+フルベストラントを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験postMONARCHの結果より、 アベマシクリブ+フルベストラント併用療法によるPFSの有意な改善が示された。 米・Winship Cancer Institute of Emory UniversityのKevin Kalinsky氏が発表した。 

CDK4/6阻害薬+ET後PD症例に対する至適治療は?

CDK4/6阻害薬と内分泌療法 (ET) の併用は、 ホルモン受容体 (HR) 陽性HER2陰性進行乳癌に対する標準的な1次治療である。 ほぼ全ての進行乳癌患者で病勢進行 (PD) が認められるものの、 CDK4/6阻害薬+ET後のPD症例に対する最適な治療法は不明である。

 

アベマシクリブはCDK6よりもCDK4に対する選択性があり、 骨髄抑制を起こしにくいことから、 進行乳癌においてアロマターゼ阻害薬 (AI) またはフルベストラントとの併用が承認されている。 今回は、 本試験における主要解析結果が示された。

主要評価は担当医評価のPFS

対象

1次治療としてのCDK4/6阻害薬+AI後にPD、 または早期乳癌の術後療法としてのCDK4/6阻害薬+ET後に再発したHR陽性HER2陰性の進行乳癌患者(男性および閉経前/後の女性)

方法

368例が以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。

  • アベマシクリブ群 : 182例
アベマシクリブ+フルベストラントを投与
  • プラセボ群 : 186例
プラセボ+フルベストラントを投与

評価項目

主要評価項目

担当医評価によるPFS

副次的評価項目

全生存期間 (OS)、 盲検独立中央判定 (BICR) 評価によるPFS、 奏効率 (ORR)、 臨床的有用率 (CBR)、 病勢コントロール率 (DCR)、 奏効期間 (DoR)、 安全性など

6ヵ月PFSは50%、 増悪リスクを27%低減

患者背景

(アベマシクリブ群、 プラセボ群の順に記載)

両群で概ね同様だった。

  • 年齢中央値 : 58歳、 61歳
  • ECOG PS 0 : 57%、 58%
  • アジア人 : 12%、 15%
  • エストロゲン受容体陽性 : 100%、 99%
  • プロゲステロン受容体陽性 : 79%、 81%

【CDK4/6阻害薬の前治療歴】

  • パルボシクリブ : 59%
  • ribociclib : 33%
  • アベマシクリブ : 8%

主要評価項目

担当医評価によるPFS

【イベント発生数】

  • アベマシクリブ群 : 117件
  • プラセボ群 : 141件

【中央値(95%CI)】

  • アベマシクリブ群 : 6.0ヵ月
(5.6-8.6ヵ月)
  • プラセボ群 : 5.3ヵ月
(3.7-5.6ヵ月)
ハザード比 0.73 (95%CI 0.57-0.95)、 p=0.02

【6ヵ月PFS率】

  • アベマシクリブ群 : 50%
  • プラセボ群 : 37%

【サブグループ解析】

事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 アベマシクリブ群のプラセボ群に対する優位性が一貫して認められた。 バイオマーカーによる探索的解析においても、 ベースラインのESR1またはPIK3CA / AKT1 / PTEN変異の有無にかかわらず、 一貫した効果が認められた。

CDK4/6阻害薬の前治療歴

  • <12ヵ月 : HR 0.80 
(95%CI 0.50-1.29)
  • ≧12ヵ月 : HR 0.70 
(95%CI 0.52-0.94)

内臓転移

  • なし : HR 0.53 
(95%CI 0.34-0.83)
  • あり : HR 0.87 
(95%CI 0.64-1.17)

ESR1変異

  • あり : HR 0.79 
(95%CI 0.54-1.15)
  • なし : HR 0.79 
(95%CI 0.55-1.13)
p=0.98

PIK3CA / PTEN / AKT1変異

  • あり : HR 0.86 
(95%CI 0.60-1.23)
  • なし : HR 0.73
(95%CI 0.51-1.06)
p=0.55

副次評価項目

BICR評価によるPFS

【イベント発生数】

  • アベマシクリブ群 : 60件
  • プラセボ群 : 92件

【中央値(95%CI)】

  • アベマシクリブ群 : 12.9ヵ月
(9.5ヵ月-NR)
  • プラセボ群 : 5.6ヵ月
(3.9-7.7ヵ月)
ハザード比0.55 (95%CI 0.39-0.77) 
p=0.0004

【6ヵ月PFS率】

  • アベマシクリブ群 : 68%
  • プラセボ群 : 45%

【サブグループ解析】

事前に規定された全てのサブグループにおいて、 アベマシクリブ群のプラセボ群に対する優位性が一貫して認められた。

ORR

【担当医評価】

  • アベマシクリブ群 : 17%
  • プラセボ群 : 7%
p=0.0145

【BICR評価】

アベマシクリブ群 : 23%

プラセボ群 : 8%

p=0.0008

有害事象 (AE) の発現率

Grade≧3

  • アベマシクリブ群 : 55%
  • プラセボ群 : 20%

減量に至ったAE

  • アベマシクリブ群 : 30%
  • プラセボ群 : 3%

治療中止に至ったAE

  • アベマシクリブ群 : 6%
  • プラセボ群 : 0%

PD後もアベマシクリブ併用療法は有効

Kalinsky氏は 「CDK4/6阻害薬+ET療法後にPDを認めたHR陽性HER2陰性の進行乳癌において、 アベマシクリブ+フルベストラント併用療法は、 プラセボ併用と比較し、 PFSを有意に改善した。 安全性は既知のプロファイルと一致していた。 アベマシクリブ+フルベストラント併用療法は、 CDK4/6阻害薬による治療で進行した後のHR陽性HER2陰性進行乳癌でバイオマーカーでは選択されない患者における治療選択肢となるだろう」 と報告した。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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