HOKUTO通信
3日前
乳がん診療の第一人者で昭和医科大学特任教授の中村清吾氏が5月9日、 亡くなった。 68歳だった。
中村氏は1956年生まれ。 1982年に千葉大学を卒業後、 米国M.D.アンダーソンがんセンターなどを経て、 2005年に聖路加国際病院ブレストセンター初代センター長に就任した。
2010年には昭和大学 (現・昭和医科大学) 乳腺外科教授に就任し、 同大病院ブレストセンター長などを兼任。 2022年に定年退職以降は同大特任教授として、 同大臨床ゲノム研究所所長なども務めた。
乳がんに関する論文発表や学会報告は多数に上る。 乳腺MRI (磁気共鳴画像) の活用に関する先駆的研究で注目され、 乳腺MRIを用いた研究により日本乳癌学会久野賞を受賞した。
以後も臨床試験やトランスレーショナルリサーチに精力的に取り組み、 遺伝性乳がんのリスク評価と個別化治療の推進に尽力した。
日本乳癌学会理事長 (名誉理事長) を務め、 米国臨床腫瘍学会 (ASCO) ブレスト癌シンポジウムのプログラム委員 (2009–2010年) など国内外の学術活動にも貢献した。
臨床面では、 乳がん患者に対する包括的な診療体制を構築した功績が大きい。 聖路加、 昭和医科大両病院のブレストセンターでは、 多職種チームによる患者中心の診療モデルを確立し、 日本の乳腺診療水準の向上に寄与した。
乳房温存療法の普及にも貢献し、 術前画像診断へのMRI活用を推進することで腫瘍局在の精密な把握と根治性・整容性の両立に寄与。 ゲノム検査に基づく治療選択や遺伝カウンセリング体制の整備にも取り組み、 乳がん診療に個別化医療を導入する先導的役割を果たした。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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