海外ジャーナルクラブ
6ヶ月前
Zhangらは、 未診断の慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 特定に対する多遺伝子リスクスコア (PRS) の臨床的有用性を評価することを目的として、 2つの観察研究を用いた横断的解析を実施した。 その結果、 修正版肺機能質問票 (mLFQスコア) にPRSを併用することでCOPD特定の精度が向上することが明らかとなった。 本研究はJAMA誌において発表された。
mLFQスコアにPRSを併用することで曲線下面積 (AUC) が0.78から0.84にまで増加するのは0.8を超えてちょうど良い具合の増加率といえます。
一般的にCOPDは診断されないことが多く、 遺伝的リスクが罹患率に重要な役割を果たしていることが知られているが、 未診断のCOPD特定への臨床的有用性は不明である。
そこで、 本研究ではPRSが、 従来の症例調査アプローチを超えて、 未診断COPDの特定の精度向上に寄与するか否かを明らかにすることを目的に、 横断的解析が実施された。
以下の2つの観察研究を用いて、 COPD診断歴がない35歳以上の参加者 (FHS : 160例、 COPDGene : 775例) を対象とした横断的解析が実施された。
主要評価項目は、 スパイロメトリー検査による中等度から高度のCOPDの特定 (1秒量/努力肺活量[FEV1/FVC]<0.7およびFEV1予測値[%] <80%) であった。
スパイロメトリーに基づくCOPDの予測に、 PRS、 mLFQスコア、 PRS+mLFQスコアを用いてロジスティックモデルの性能を評価した。
FHSの参加者160例 (4.7%) およびCOPDGeneの参加者775例 (18.9%) がスパイロメトリー検査を基にCOPDと診断された。
mLFQスコアにPRSを併用することで、AUCは以下のとおり有意に改善した。
スパイロメトリー検査のリスク閾値を10%とした場合、 mLFQスコアにPRSを併用することで、 FHSではCOPD症例の13.8% (95%CI 6.6%-21.0%) が正しく再分類され、 特定の精度向上が認められたが、 COPDGeneでは再分類における改善がみられなかった。
著者らは 「多遺伝子リスクスコア (PRS) の併用により未診断のCOPD特定の精度は向上した。 COPDの診断および転帰への影響を評価するには、 さらなる研究が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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