海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Wangらは腹腔鏡下手術後の低酸素血症患者を対象に、 低酸素血症の低減効果をもたらす体位について無作為化比較試験で検討した。 その結果、 30°半座位は他の体位と比較して術後低酸素血症を有意に減少させることが明らかとなった。 本研究はJAMA Netw Openにて発表された。
体位の研究は費用も発生せず日常診療に近い介入なので、 より多くの研究がなされても良いと思います。 今回の研究は3群で検討しているところがポイントで、 今後研究を行う際の参考となります。
Lap-C高リスクの重症胆嚢炎、 最適な回避手術は腹腔鏡下?開腹?
腹腔鏡下胃バイパス術の腸間膜欠損閉鎖で小腸閉塞の再手術率が低下
麻酔覚醒時における低酸素血症を低減するために、 半座位は広く用いられている体位であるが、 その有効性は明らかにされていない。
全身麻酔下で腹腔鏡下上腹部手術を受ける予定の患者 : 700例
患者は術後~麻酔後ケアユニットを退室するまでの間、 以下の3群に1 : 1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。
- 仰臥位群 : 233例
- 15°半座位群 : 233例
- 30°半座位群 : 234例
主要評価項目は 「麻酔後ケアユニットにおける術後低酸素血症*¹の発生率」、 副次評価項目は 「重症低酸素血症*²の発生率」 などとされた。
3群間で有意差が認められた。
- 仰臥位群 : 46.8%
- 15°半座位群 : 45.1%
- 30°半座位群 : 32.5%
p=0.002
この差は、 30°半座位群 vs 仰臥位群*¹および30°半座位群 vs 15°半座位群*²で統計的に有意だった。
一方、 15°半座位群 vs 仰臥位群*³では有意ではなかった。
3群間で有意差が認められた。
- 仰臥位群 : 26.2%
- 15°半座位群 : 22.7%
- 30°半座位群 : 15.4%
p=0.01
この差は、 30°半座位群 vs 仰臥位群で統計的に有意だった。
著者らは 「腹腔鏡下上腹部手術を受けた患者の麻酔覚醒時において、 30°半座位は仰臥位および15°半座位と比較して術後の低酸素血症を有意に減少させた」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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