HOKUTO編集部
1年前
What Influences the Decision to Proceed to Transplant for Patients With AML in First Remission?
本総説は急性骨髄性白血病 (AML) に対する同種移植を第一寛解期に行うのかどのように決定するのが良いか提言しており日常臨床にも参考になる。 諸外国と本邦では検査体制など異なる点が多々ある点は理解した上で読むことが必要ではある。
同種移植を第一寛解期に行うか否かを判断する際には、 AML自体のリスク分類に応じた再発リスクと非再発死亡リスク (NRM) のバランスが大きな要因となる。
例えばpoor risk (予後不良群) の場合には同種移植を行わなければ70~90%再発する一方で、 同種移植を行うと再発率は40~70%となっている。 そうすると、 同種移植を行っても相当再発するわけではあるが、 移植をしない場合との差を考えると、 NRMが20~25%程度であれば同種移植に進むことが妥当という考え方である。
実臨床で問題となりやすいのはintermediate (予後中間群) ではある。
一般的には予後中間群は第一寛解期で同種移植が勧められる。 ただ、 同じように再発率を見てみると、 移植例で20~25%、 非移植例で50~55%ということで、 実はその差というのは予後不良群とそこまで差はない。 その為、 同種移植のNRMリスクが15~20%であれば同種移植を行うのは妥当かということになる。 ここではMRD陰性であると議論のあるところであると記載があるが、 本邦ではWT1以外は保険適用として測定することが困難であり日常診療ではMRDを深く正確に判定するのは難しいことも多いことは理解しておく必要がある。
AMLのrisk categoryにさらにいくつか特徴的な遺伝子異常のパターンなどを含めての情報がまとめられており参考となる。 繰り返しになるが本邦では保険適用の検査では全てを検査できていない点はlimitationではある。
ここでMRD-guided decisionが勧められているグループはMRDの有用性が確立されているタイプとなる。 例えば、 染色体核型がt (8;21) のようなキメラ遺伝子が検出されている例は最たるものであるが、 それ以外にはNPM1変異はMRDのモニタリングの有用性を示すデータが豊富にある。 逆にFLT3-ITD変異は最近でこそ有用性を示唆するデータが出てきているが、 技術的にはまだ確立されているとは言えないレベルではある。
また、 MRDにおいてはASXL1, DNMT3A,TET2のようにclonal hematopoiesisでも認められる遺伝子異常は必ずしも再発の指標とならない場合もあり注意を要する。
さらに、 もう一点重要な点としては、 TP53変異を有してcomplex karyotype (複雑な核型)¹⁾やmonosomal karyotpe²⁾の例やinv (3) を有する症例である。 ここでも同種移植を検討するが、 非常に予後が厳しいことを議論しなければならない、 臨床試験への登録を常に検討する、 と記載されており、 同種移植を行ったとしても予後が厳しいことは伝えた上で同種移植の選択を行うというのは重要であることがよく示されている。 特に高齢でNRMリスクも高い症例ではこの点は重要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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