【慶應】アルツハイマー病予測に有用な3つの質問
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9日前

【慶應】アルツハイマー病予測に有用な3つの質問

【慶應】アルツハイマー病予測に有用な3つの質問
慶應義塾大学病院メモリーセンター長の伊東大介氏らは、 アルツハイマー病 (AD) の病態に関連する患者を対象に、 同氏ら研究グループが考案したAD簡易スクリーニング票である "Neucop-Q" を用いたアミロイドβ病理の予測力を検討した。 その結果、 認知症患者の臨床的徴候*である "head-turning sign(HTS)" と、 簡単な3つの質問 (病識、 楽しみ、 ニュース) から構成されるNeucop-Qにより、 ADおよび軽度認知機能障害 (MCI) を効率的に予測できる可能性が示された。 本研究はAlzheimer’s Res Ther誌にて発表された。 
*問診時、 検査者が患者に対して質問を行った際に、 患者が同伴者等の方を向いて助けを求める行動

📘原著論文

Can the clinical sign "head-turning sign" and simple questions in "Neucop-Q" predict amyloid β pathology? Alzheimers Res Ther. 2024 Nov 21;16(1):250. PMID: 39568089.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

質問に対する正常と障害の例が興味深いです。 例えば、 娯楽の質問に対し"Generally, I enjoy everything"は障害となるようです。

💬プレスリリース

慶應義塾大学プレスリリース (2024/11/21)

簡便な認知症サインと質問セットによるアルツハイマー病のスクリーニング法の確立-レカネマブの適応判断にも利用可能-

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背景

ADの病理因子を簡便に予測する方法は未確立

ADの早期診断および簡便なスクリーニング方法の確立は、 臨床現場において重要な課題となっている。 そこで本研究では、 HTSおよびAD簡易スクリーニング票 "Neucop-Q" によるスクリーニング能を検証した。

方法

155例に 「病識」 「楽しみ」 「ニュース」 に関する質問を提示

155例の患者が登録され、 うち認知機能正常は47例、 MCIが3例、 認知症が64例、 精神疾患が8例であった。

参加者全員が、 以下3つの質問で構成されるNeucop-QおよびアミロイドPET、 タウPETによる診断を受けた。 Neucop-Qの質問は、 いずれも"正常 (normal)" もしくは"障害 (impaired)" で区分された。

Neucop-Qの質問内容

❶病識 (C) に関する質問
 「現在、 困っていることはありますか?」 
❷楽しみ (P) に関する質問
 「現在、 楽しみはありますか?」
❸ニュース (N) に関する質問
 「最近3ヵ月以内で気になるニュースを挙げてください」

さらに、 血漿アミロイドβ (Aβ) 42/40比、 リン酸化タウ181 (pTau181)、 グリア線維性酸性タンパク質 (GFAP)、 ニューロフィラメントライト (NFL) のレベルを測定し、 HTSおよびNeucop-Qの結果と比較を行った。

【慶應】アルツハイマー病予測に有用な3つの質問
【慶應】アルツハイマー病予測に有用な3つの質問
慶應義塾大学プレスリリース (2024/11/21) より引用

結果

「病識なし」 「ニュースの記憶なし」 がアミロイドPETの陰性的中率に関連

HTSとNeucop-Qによるスクリーニング結果

HTS陽性の特異度と陽性適中率 (PPV) は最も高く、 アミロイドPETはそれぞれ93%、 87%、 タウPETは94%、 95%だった。

また、 病識なし (C impaired) とニュースの記憶なし (N impaired) はアミロイドPETの陰性的中率 (NPV) が最も高く、 それぞれ75.0%、 72.5%であった。

さらに、 楽しみなし (P impaired) は、 アミロイドPETが陽性ではない非ADにおける、 非ADタウ陽性認知症の予測に高い特異度が示された (85.4%)。

アミロイドβ蓄積とスクリーニング結果の相関

これらの所見をPETの診断結果から検証するため、 アミロイドβの蓄積と上記のスクリーニングで得られた結果との相関を調べた。 その結果、 HTS陽性、 C impaired、 N impairedは、 Aβ42/40比*¹、 pTau181*²、 GFAP*³、 およびアミロイドPETセンチロイド*⁴と強く関連していた。 一方、 P impairedは神経炎症 (GFAP、 p=0.0061) を増加させ、 非AD認知症と関連していた。

HTS陽性、 C impaired、 N impairedそれぞれについてp値を示す。
*¹p<0.0001、 p=0.0022、 p=0.001
*²p<0.0001、 p=0.0095、 p=0.001
*³p=0.0372、 p=0.0088、 p=0.0002
*⁴p<0.0001、 p=0.0210、 p=0.0006

3つの質問で予測特異度97%、 陽性的中率83%

Neucop-Qの質問の組み合わせでは、 C impaired/P normal/N impairedの症例において特異度およびPPVが最も高く (97%および83%)、 Aβ42/40比 (p=0.0006)、 pTau181 (p=0.0006)、 アミロイドPETセンチロイド (p<0.0001) と強い関連を示した。

結論

Neucop-Qは簡便に実施できるADのスクリーニングとして有用

著者らは 「HTS陽性、 病識なし (C impaired)、 ニュースの記憶なし (N impaired)はADおよびMCIに有用であり、 楽しみなし (P impaired)は非AD認知症の診断に有用であった。 この結果から、 HTSおよびNeucop-Qは極めて簡便なADの第一選択スクリーニングとして役立つ可能性がある」 と報告した。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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