【Nat Med】COVID-19入院患者、 3年後も死亡・後遺症リスクが残存
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海外ジャーナルクラブ

5ヶ月前

【Nat Med】COVID-19入院患者、 3年後も死亡・後遺症リスクが残存

【Nat Med】COVID-19入院患者、 3年後も死亡・後遺症リスクが残存
Caiらは、 新型コロナウイルス既感染者のコホートと対照コホートを3年にわたり追跡し、 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) による死亡リスクと後遺症のリスクについて、 入院の有無別に検討した。 その結果、 入院を要したCOVID-19患者では、 感染後3年目にも死亡および後遺症のリスクが残存し疾病負荷をもたらしていることが明らかとなった。 本研究はNat Medにて発表された。 

📘原著論文

Three-year outcomes of post-acute sequelae of COVID-19. Nat Med. 2024 Jun;30(6):1564-1573. PMID: 38816608

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

COVID-19ワクチン導入前の患者疫学となるところがlimitationと言えます。

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背景

新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) 感染は、 さまざまな臓器にCOVID-19の後遺症 (PASC : post-acute sequelae of COVID-19) を引き起こす。 これらの後遺症のリスクは感染後2年後までは明らかになっているが、 さらに長期間にわたる追跡調査は限られている。

対象・方法

米国退役軍人省のデータベースから以下のコホートを作成し、 3年間追跡して死亡およびPASCのリスクを推定した。

- COVID-19群 : SARS-CoV-2感染後30日時点で生存していた13万5,161例のコホート

- 対照群 : 対照520万6,835人のコホート

COVID-19群は、 さらに以下の2群に分けられた。

- 非入院COVID-19群 : 11万4,864例

- 入院を要したCOVID-19群 : 2万297例

非入院COVID-19群の結果

死亡リスクは1年後以降は増加せず

対照と比較した有意な死亡リスクの増加は、 感染した年より後にはみられなかった。

死亡リスク [発生率比 (IRR) vs 対照群]

1年目 : 1.58 (95%CI 1.53-1.62)

2年目 : 0.97 (95%CI 0.94-1.00)

3年目 : 1.01 (95%CI 0.97-1.04)

超過死亡 (1,000人あたり)

1年目 : 16.20人 (95%CI 14.90-17.51人)

2年目 : -0.91人 (95%CI -2.20-0.38人)

3年目 : 0.22人 (95%CI -1.14-1.58人)

3年目でPASCリスク低下もDALYs 9.6年

PASC発症リスクは3年間で低下したものの、 3年目において依然として1,000人当たり9.6年の障害調整生存年 (DALYs) に寄与していた。

PASCの発症リスク [発症率比 (IRR) vs 対照群]

1年目 : 1.23 (95%CI 1.22-1.25)

2年目 : 1.16 (同1.14-1.18)

3年目 : 1.05 (同1.03-1.08)

PASCの件数 (1,000人当たり)

3年間の累積 : 378.7件 (95%CI 356.6-401.1件)

1年目 : 212.3件 (同197.5-227.0件)

2年目 : 125.0件 (9107.2-142.7件)

3年目 : 41.2件 (95%CI 20.2-62.3件)

PASCによる疾病負荷 [DALYs (1,000人あたり) ]

3年間の累積 : 91.2年 (95%CI 81.6-101.0年)

1年目 : 54.3年 (95%CI 47.9-60.7年)

2年目 : 27.3年 (95%CI 19.5-35.0年)

3年目 : 9.6年 (95%CI 0.4-18.7年)

入院を要したCOVID-19群の結果

死亡リスクは3年目も高いまま

死亡リスクは低下したものの、 感染後3年目でも有意に高いままであった。 [IRR : 1.29 (95%CI 1.19-1.40) ]

死亡リスク (IRR vs 対照群)

1年目 : 3.17 (95%CI 3.00-3.33)

2年目 : 1.44 (同1.34-1.55)

3年目 : 1.29 (同1.19-1.40)

超過死亡 (1,000人当たり)

1年目 : 58.85人 (95%CI 54.37-63.33人)

2年目 : 14.16人 (同10.25-18.06人)

3年目 : 8.16人 (同4.37-11.96人)

3年目もPASCリスク残存しDALYs 90.0年

PASC発症リスクは3年間で低下したが、 3年目にもかなりのリスクが残存し、 1,000人当たり90.0年のDALYsに寄与していた。

PASCの発症リスク (IRR vs 対照群)

1年目 : 2.82 (95%CI 2.76-2.89)

2年目 : 1.57 (同1.49-1.66)

3年目 : 1.34 (同1.24-1.45)

PASC件数 (1,000人当たり)

3年間の累積 : 2,391.7件 (95%CI 2,316.0-2,472.3件)

1年目 : 1,696.6件 (同1,636.6-1,756.6件)

2年目 : 443.3 (同375.1-511.6件)

3年目 : 252.8 (同176.9-328.7件)

PASCによる疾病負荷 [DALYs (1,000人当たり) ]

3年間の累積 : 766.2年 (95%CI 731.7-803.3年)

1年目 : 527.1年 (同499.5-554.7年)

2年目 : 149.6年 (同118.1-181.0年)

3年目 : 90.0年 (同55.2-124.8年)

結論

著者らは 「この研究結果によってリスクの経時的な低下が示されたが、 入院した人では、 死亡と健康喪失の負荷は3年目にも残存している」 と述べている。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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