海外ジャーナルクラブ
30日前
Perrotらは、 導入療法を完了した移植適応のある多発性骨髄腫患者を対象に、 測定可能微小残存病変 (MRD) に基づく地固め療法の有用性を第Ⅲ相無作為化比較試験MIDASで評価した。 その結果、 MRDに基づく地固め療法として、 MRD陰性患者における自家造血幹細胞移植 (ASCT) 実施、 およびMRD陽性患者におけるASCT 2回実施の有用性は示されなかった。 本研究はNEJM誌に発表された。
今回のtrial名の 「MIDAS」 は、 ギリシャ神話に登場する王の名前で触れたものを黄金に変える力を持つことで知られています。
測定可能微小残存病変 (MRD) は、 新たに診断された多発性骨髄腫 (MM) における主要な予後因子である。 ASCTの適応となる患者において、 MRDに基づいた地固め療法の戦略評価が有用である可能性がある。
そこで第Ⅲ相無作為化比較試験MIDASで、 MRDに基づいた地固め療法の有用性を評価した。
Isa-KRd (イサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン) による導入療法を完了した移植適応のある新規MM患者718例が、 MRDステータスおよび地固め療法に応じて以下の4群に無作為に割り付けられた。
MRD陰性 (10⁻⁵の感度) 患者 : 485例
MRD陽性 (10⁻⁵の感度) 患者 : 233例
主要評価項目は、 維持療法前における10⁻⁶の感度でのMRD陰性であった。
追跡期間中央値は、 ASCT群およびIsa-KRd群で16.8ヵ月、 タンデムASCT群およびシングルASCT群で16.3ヵ月であった。
主要評価項目である維持療法前のMRD陰性率は、 導入療法後のMRD陰性患者485例ではASCT群が86%、 Isa-KRd群が84% (調整相対リスク[aRR] 1.02 [95%CI 0.95-1.10]、 p=0.64)、 導入療法後のMRD陽性患者233例ではタンデムASCT群が32%、 シングルASCT群が40%であった (aRR 0.82 [95%CI 0.58-1.15、 p=0.31)。
タンデムASCT群の15%は2回目のASCTを行わなかった。
新たな安全性シグナルは検出されなかった。
地固め療法中に病勢進行が5例、 病勢進行とは無関係の死亡が2例で認められたが、 すべてIsa-KRd群またはタンデムASCT群であった。
著者らは 「導入療法後のMRD陰性患者における維持療法前のMRD陰性率は、 ASCTを実施してもIsa-KRdのみ実施と比べて有意な改善が認められなかった。 また、 導入療法後のMRD陽性患者において、 ASCTを短期間に2回実施しても単回実施と比べて有意な改善が示されなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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