HOKUTO編集部
1年前
前治療歴のない局所進行または転移性の尿路上皮癌 (la/mUC) 患者を対象に、 抗Nectin-4標的抗体薬物複合体エンホルツマブ ベドチン (EV) とペムブロリズマブ (Pem) の併用療法の有効性および安全性について、 従来の化学療法を対照として比較検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験EV-302/KEYNOTE-A39の結果から、 無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) の有意な改善が示された。 英・Saint Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏が発表した。
la/mUC患者に対する現在の標準治療は、 プラチナ製剤ベースの化学療法であるが、 長期予後が不良のため、 生存期間を延長させる有効な治療法が求められている。 抗体薬剤複合体であるEVおよび抗PD-1抗体であるPemは、 前治療歴のあるla/mUC患者においてそれぞれ生存期間に対する有効性を示している。 本試験では、 前治療歴のないla/mUC患者において、 EV+Pの併用療法の有効性と安全性が検証された。
プラチナ製剤ベースの化学療法が適応となった、 前治療歴のないla/mUC患者
登録された886例を以下の2群に1:1で割り付けた
主要評価項目:盲検下独立中央判定 (BICR) の評価によるPFS、 OS
副次評価項目:BICR評価による全奏効率 (ORR) 、 安全性
17.2ヵ月
HR 0.45 (95%CI 0.38-0.54)、 p<0.00001
PD-L1の発現状況に関わらず、 EV+P群で良好な結果が得られた。
CPS≧10%
HR 0.42 (95%CI 0.33-0.53)
CPS<10%
HR 0.50 (95%CI 0.38-0.65)
HR 0.47 (95%CI 0.38-0.58)、 p<0.00001
シスプラチンの適格性、 PD-L1の発現状況に関わらず、 EV+P群で良好な結果が得られた。
シスプラチン適格
HR 0.53 (95%CI 0.39-0.72)
シスプラチン不適格
HR 0.43 (95%CI 0.31-0.59)
CPS≧10%
HR 0.49 (95%CI 0.37-0.66)
CPS<10%
HR 0.44 (95%CI 0.31-0.61)
p<0.00001
前治療歴のないla/mUC患者において、 EV+Pの併用療法は、 化学療法と比較してPFSとOSの中央値をほぼ2倍に延長させることが示された。 本試験は、 プラチナ製剤ベースの化学療法をOSにおいて凌駕した初めての試験である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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