海外ジャーナルクラブ
2年前
Travisらは、 潰瘍性大腸炎で回腸嚢肛門吻合術 (IPAA) を受けた後に慢性回腸嚢炎になった成人患者を対象に、 ベドリズマブの治療効果を第Ⅳ相二重盲検ランダム化比較試験で検討。 その結果、 慢性回腸嚢炎の治療においてベドリズマブがプラセボよりも寛解導入において有効であることが明らかとなった。 本研究はNEJM誌において発表された。
第Ⅳ相試験とは、 通常新薬または新治療法の市販後の試験です。 今回は中等症ー重症のUCに承認されているベドリズマブをUCの合併症である慢性回腸嚢炎に対して特に効果があるかどうかを検討した試験で、 第Ⅳ相試験でRCTとなり大変珍しいです。 現在、 NEJMには簡単な2分間ほどの動画がありますのでそれを見ると専門でない先生方も非常にわかりやすいと思います。
潰瘍性大腸炎でIPAAを伴う修復的肛門切除術を受けた患者の約半数は,その後,回腸嚢炎を発症し,そのうちの1/5は慢性回腸嚢炎になる。
潰瘍性大腸炎で回腸嚢肛門吻合術 (IPAA) を受けた後に慢性回腸嚢炎になった成人患者。
患者は以下の群に1:1の割合で割り付けられた。
14週時点のmodified Pouchitis Disease Activity Index (mPDAI) 定義による寛解
ベドリズマブ群の方がプラセボ群より17%ポイント高かった。
ベドリズマブ群のほうがプラセボ群より30%ポイント高かった。
ベドリズマブ群のほうがプラセボ群より22%ポイント高かった。
ベドリズマブ群の方がプラセボ群より25%ポイント高かった。
ベドリズマブ群の方がプラセボ群より19%ポイント高かった。
重篤な有害事象は、 ベドリズマブ群では6% (51例中3例) に、 プラセボ群では8% (51例中4例) に発生した。
慢性回腸嚢炎の患者において、 ベドリズマブはプラセボよりも寛解を誘導する効果が高い。 慢性回腸嚢炎治療における新たな治療法としてベドリズマブの有用性を示している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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