海外ジャーナルクラブ
2年前
Elitzurらは、 1980~2018年の間に小児急性リンパ芽球性白血病 (ALL) 患者を対象に行われた12試験のデータを基に、 幹細胞移植を除く小児ALL治療後の非ホジキンリンパ腫 (NHL) 発症について解析。 その結果、 ALL後のリンパ系腫瘍の大部分は、 ALLの維持療法によると思われる免疫不全状態に関連していることが示唆された。 本研究は、 Blood誌において発表された。
約30年間の観察で85症例の研究成果。 ともすれば、 ALL診断後のNHL、 みたいな味気ない総説風のタイトルになってしまいそうですが、 少ない対象人数からもimpactの強いタイトルをつけているところが素晴らしいです。
小児ALLの診断後に二次がんが発生することは稀である。 ある種の二次がんは、 白血病治療の特定の要素と関連しているが、 ほとんどの二次がんの病因は不明であり、 その最適な治療戦略も不明である。
1980~2018年の間に12の小児ALL共同試験に登録された患者のうち、 ALL診断後にNHLを発症した患者のデータを解析。
85例がNHLを発症し、 成熟B細胞リンパ増殖が支配的なサブタイプであった (85例中56例)。
56例のうち46例 (82%) は、 維持療法中または6カ月以内に発症した。
65%が免疫不全に関連した病理組織学的特徴を示し、 主にEBV関連リンパ増殖性疾患 (EBV-LPD) の所見が見られた。
ALL後の免疫不全リンパ系腫瘍66例 (本研究:52例、 文献検索による追加:14例) について検討したところ、 追跡期間中央値 4.9 年での 5 年全生存率は 67.4% (95% CI 56-81) であった。
血球貪食性リンパ組織球症の併発は死亡率の増加と関連していた。
HR 7.32、 95%CI 1.62-32.98、 P=0.01
ALL後のリンパ系腫瘍の大部分は、 ALL維持療法によると思われる免疫不全状態に関連している。 早期診断と最適な治療のためには、 この十分に認識されていない疾患に対する認識と適切な診断検査が重要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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