Shimizuらは、 進行非小細胞肺癌 (NSCLC) の患者を対象に、 抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan (Dato-DXd) の安全性、 忍容性、 抗腫瘍活性を第I相試験TROPION-PanTumor01で検討。 その結果、 Dato-DXdが有望な抗腫瘍活性と管理可能な安全性プロファイルを示した。 本研究はJ Clin Oncol誌において発表された。
📘原著論文
First-in-Human, Phase I Dose-Escalation and Dose-Expansion Study of Trophoblast Cell-Surface Antigen 2-Directed Antibody-Drug Conjugate Datopotamab Deruxtecan in Non-Small-Cell Lung Cancer: TROPION-PanTumor01. J Clin Oncol. 2023 Jun 16;JCO2300059. PMID: 37327461
👨⚕️監修医師のコメント
どの領域にもfirst-in-human trialが存在し、 それは他の研究とは異質の価値と言えます。 Pubmedで検索してもタイトルにつくものはtrialまで入れると100ありません。 今後の研究成果が大いに期待されます。
🔢関連コンテンツ
肺癌のTNM臨床病期分類
肺癌の病期分類 (UICC-8版)
研究デザイン
対象
局所進行/転移性NSCLCの成人患者:210例
介入
- 用量漸増:0.27~10mg/kgのDato-DXdを3週に1回
- 用量拡大:4、 6、 8mg/kgのDato-DXdを3週に1回投与
主要評価項目
安全性と忍容性
副次評価項目
客観的奏効率(ORR)、 生存期間、 薬物動態
研究結果
用量拡大コホート
- 210例の患者がDato-DXdを投与され、 うち180例は4~8mg/kgの用量拡大コホートであった。 この集団の前治療歴の中央値は3ラインであった。
- 最大耐容量は8mg/kgで3週間に1回投与であった。
- 今後の開発における推奨用量は6mg/kgで3週間に1回投与であった。
- 6mg/kgを投与された患者 (50例) の追跡調査を含む試験期間中央値は13.3カ月、 曝露期間中央値は3.5カ月だった。
主要評価項目
最も頻度の高かった治療有害事象 (TEAE)
グレード3以上のTEAEおよび治療関連AE
- グレード3以上のTEAEおよび治療関連AEは、 それぞれ患者の54%および26%に発現した。
薬剤関連の間質性肺疾患
- 薬剤関連と判定された間質性肺疾患は6% (50例中3例) に発現した (グレード2:2例、 グレード4:1例)。
副次評価項目
- ORR:26% (95%CI 14.6-40.3%)
- 奏効期間中央値:10.5カ月
- 無増悪生存期間中央値:6.9カ月 (95%CI 2.7-8.8カ月)
- 全生存期間中央値:11.4カ月 (95%CI 7.1-20.6カ月)
- 奏効はTROP2の発現に関係なく認められた。
結論
前治療歴の多い進行NSCLC患者において、 Dato-DXdは有望な抗腫瘍活性と管理可能な安全性プロファイルを示した。 進行NSCLCの初回併用療法として、 また2次治療以降の単剤療法として、 さらなる検討が進行中である。