HOKUTO編集部
4日前

既知の動脈硬化性心血管疾患 (ASCVD) がない18~70歳の成人1万6,808例を対象に、 頸動脈および大腿動脈の血管超音波と冠動脈CT血管造影を用いて無症候性動脈硬化の有病率について検討した前向きコホート研究REACT phase 1から、 3領域すべての画像が得られた1万3,186例の57.1%に無症候性動脈硬化があることが明らかになった。 デンマーク・RigshospitaletのHenning Bundgaard氏が発表した。同試験の詳細は、 N Engl J Med.誌2026年8月29日オンライン版¹⁾に掲載された。
心血管疾患の主要な要因である動脈硬化は、 臨床的に心血管疾患が顕在化する数十年も前から存在し、 無症候のまま経過する可能性がある。 現在は心血管疾患の臨床症状が現れた後に動脈硬化の治療が開始されることが多いが、 より早期の段階からの効果的かつ予防的なアプローチが求められている。 そこで、 本研究ではその足がかりとして、 成人期全体を通じた無症候性の動脈硬化の有病率、 血管領域別の分布、 プラーク量について検討した。
デンマークおよびスペインの8施設で既知のASCVDがない18~70歳の成人を、 国および性別の割合が均等になるように設定した事前規定の5つの年齢層のグループ (18~29歳、 30~39歳、 40~49歳、 50~59歳、 60~70歳) に登録した。ベースライン時に頸動脈および大腿動脈は3次元 (3D) 血管超音波、 冠動脈はCT血管造影で評価した。 2024年11月~2026年6月に1万6,808例が登録され、 平均年齢は45±12歳、 51.4%が女性だった。有病率の主解析には頸動脈、 大腿動脈、 冠動脈の3領域すべての画像が得られた1万3,186例を組み入れた。
全体の無症候性動脈硬化の有病率は57.1% (95%CI 56.3-58.0) で、 男性63.4% (62.2-64.6)、 女性50.9% (49.7-52.1) だった (女性vs男性の調整OR 0.44 [95%CI 0.40-0.48])。最も低い年齢層である18~29歳でも有病率は男性8.7%、 女性6.7%であり、 30~39歳では男性34.6%、 女性21.3%であった。
60~70歳で頸動脈、 大腿動脈、 冠動脈の全領域でプラークが認められなかった例の割合は男性で1.9%、 女性で8.1%にとどまっていた。無症候性動脈硬化の有病率は加齢に伴い上昇するが、 男性と比べて女性では遅れて上昇し、 中年期に急激に増加することが示された。
冠動脈のみの動脈硬化はどの年齢層でもまれで、 男性では9.3%以下、 女性では5.0%以下であった。
また、 冠動脈プラークを有する例の82.0% (80.7-83.2) は末梢動脈にもプラークを有していた。加齢に伴いプラーク量は指数関数的に増加し、 複数の動脈領域に病変を認める頻度も高くなった。
心血管疾患のリスク予測モデルであるSystematic Coronary Risk Evaluation 2 (SCORE2) が適用される40歳以上で糖尿病がない集団での解析では、 SCORE2で10年高リスクに分類されたのは単一の動脈領域の無症候性動脈硬化を有する例で17例 (0.5%)、 末梢動脈と冠動脈の両方に無症候性動脈硬化を有する例で97例 (3.8%) にとどまっていた。 SCORE2で高リスクに分類されることの無症候性動脈硬化の検出における特異度は99.8%と高かったが、 感度は1.9%と低かった。 一方、 SCORE2が中等度~高リスクである場合の特異度は87.9%、 感度は34.1%であった。
Bundgaard氏は、 「REACT phase 1によって成人期を通じた男女における無症候性動脈硬化のアトラスが示された」 とした上で、 「従来のリスク予測モデルではなく、 早期からの画像に基づいた精密な予防戦略によって、 無症候性動脈硬化におけるプラーク進展を抑制できるか否かを検証する第II相無作為化比較試験のREACT-PROTECTを2027年1月に開始予定である」 と述べた。
1) N Engl J Med. 2026年8月29日オンライン版
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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