海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
東京科学大学消化器連携医療学の竹中健人氏らの研究グループは、 国内のクローン病 (CD) 患者を対象に、 回腸近位部病変に対する生物学的製剤の有効性を多施設共同前向き非盲検試験で検討した。 その結果、 回腸近位部病変の内視鏡的寛解率は他の部位と比較して低く、 治療後も潰瘍が残存する割合が高いことが明らかになった。 研究結果はClin Gastroenterol Hepatol誌に発表された。
今後、 さらに有効な治療戦略の開発が求められます。 今回のような、 近い未来が少し見えるような研究は素晴らしい研究です。
生物学的製剤によりCDの治療は大きく進展したが、 回腸近位部に病変がある症例では依然として手術が避けられない。
そこで多施設共同前向き非盲検試験を実施し、 回腸近位部病変に対する生物学的製剤の有効性をバルーンアシスト下小腸内視鏡 (Balloon-Assisted Enteroscopy : BAE) と評価した。
日本国内の施設で生物学的製剤 (インフリキシマブ、 アダリムマブ、 ウステキヌマブ、 ベドリズマブ) による治療を受けた活動性回腸CD患者253例を対象に、 0週および26週にBAEを実施し、 中央読影機関で内視鏡所見を評価した。
26週時点の内視鏡的寛解率 (修正SES-CD<4) と患者の予後 (CDに起因する入院と手術) を評価した。
ベースラインで、 29.2% (74例) に回腸末端部を除く近位部に潰瘍が認められた。
26週時点のBAEでは、 36.0% (91例) が内視鏡的寛解を達成した。 回腸末端部の潰瘍が完全に治癒した患者77例の28.6% (22例) で回腸近位部に潰瘍が残存していた。
26週時点のBAEでは、 回腸近位部の内視鏡的寛解率が50.9%であり、 結腸 (63.4%) および回腸末端部 (56.7%) と比べて低く、 この傾向はどの治療薬でも同様に認められた。
追跡期間中央値134週間の後、 回腸近位部に残存する潰瘍に予後不良との有意な関連が認められた (入院 p=0.0126、 手術 p=0.0014)。
著者らは 「CDの回腸近位部潰瘍は、 生物学的製剤による治療後も潰瘍が残存する傾向にあり、 予後不良との有意な関連が認められた。 この病変は、 投与した生物学的製剤の種類に関係なく治癒が困難であることが判明した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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