ER+HER2-低リスクDCISへの非切除・TAM単独、 主要評価未達も症例選択で選択肢か
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HOKUTO編集部

3ヶ月前

ER+HER2-低リスクDCISへの非切除・TAM単独、 主要評価未達も症例選択で選択肢か

ER+HER2-低リスクDCISへの非切除・TAM単独、 主要評価未達も症例選択で選択肢か
エストロゲン受容体 (ER) 陽性HER2陰性の低リスク非浸潤性乳管癌 (DCIS) を対象に、 手術を行わずタモキシフェン (TAM) 単独療法を実施する有効性を評価した単群検証的試験LORETTA (JCOG1505) の結果から、 主要評価項目である5年同側浸潤癌累積発生割合 (IPIC) は前設定閾値を達成しなかったものの9.8%と低値であった。 また腫瘍径≧2cmが同側浸潤癌発生リスクと関連することが示されたことから、 慎重な症例選択を行うことで非切除・タモキシフェン単独療法が治療選択肢となる可能性が示唆された。 名古屋市立大学臨床研究戦略部 特任教授の岩田広治氏が発表した。

背景

現在のDCIS標準治療は外科的切除

DCISの標準治療は外科的切除であり、 部分切除の場合は、 残存乳房への放射線療法が推奨される。 低リスクDCISに対して手術を行わないことを検討したCOMET試験¹⁾では良好な結果が示されたが、 観察期間が短く、 治療選択としての推奨には至っていない。

試験の概要

対象は低リスクDCIS患者

対象は、 国内のJCOG乳癌研究グループ参加施設にて登録された40歳以上の低リスクDCIS患者 (核グレード 1または2、 腫瘍内に中心部の壊死[コメド壊死]なし、 ER陽性、 HER2陰性、 腫瘍径2.5cm以下など) だった。 2019年の改訂で年齢制限とMRI腫瘍径要件は撤廃された。

対象患者には手術を行わずにTAM 20mg/日を5年間投与した。 経過観察中に浸潤癌が疑われる所見や腫瘍増大を認めた場合、 針生検を行い、 浸潤癌またはGrade 3への悪性化が認められた場合には外科的切除を実施した。

主要評価は同側浸潤癌の5年累積発生割合

主要評価項目は同側浸潤癌の5年累積発生率 (IPIC) であり、 期待値を2.5%、 閾値を7%と設定し、 5年IPICの95%CIの上限が7%以下であればTAM単独療法は有効と判定することとした。 副次評価項目は対側乳癌無再発生存期間 (CBCFS)、 全生存期間 (OS) などだった。

試験の結果

341例が解析対象、 追跡期間中央値36ヵ月

2017年7月~24年1月に登録された344例のうち341例が解析対象となった。 患者背景は、 核グレード1が68%、 閉経前が48%、 閉経後が51%であった。 データカットオフは2024年12月、 追跡期間中央値は36ヵ月だった。

5年IPICは9.8%で未達、 試験は早期中止

中間解析では、 5年IPICが閾値の7%を上回ったことから、 効果安全性評価委員会により試験の早期中止が勧告された。 追跡期間中央値36ヵ月で実施した最終解析では、 同側浸潤癌は18例 (5.3%) に認められ、 5年IPICは9.8% (95%CI 5.2-16.1%) であった。 この結果、 5年IPICは事前設定した閾値7%を下回らず、 主要評価項目は達成されなかった。

腫瘍径≧2cmが浸潤癌発生リスクと関連

サブグループ解析においては、 腫瘍径が浸潤癌の発生と関連しており、 ≧2.0cmと<2cmの比較においてマンモグラフィでのHRは3.579 (p=0.0278)、 超音波ではHR 3.630 (p=0.0433)、 MRIではHR 2.523 (p=0.053) だった。

5年非手術生存率は82.0%

5年OS率は98.8% (95%CI 94.9-99.7%)、 5年CBCFS率は97.5% (95%CI 92.8-99.2%) だった。 5年非手術生存率は82.0% (95%CI 73.3-88.0%) だった。

安全性は管理可能

Grade 3以上の有害事象 (AE) は3.8%に認められた。 主なAEはホットフラッシュ (全Grade 28.2%)、 ALT上昇 (同 22.3%) などであり、 管理可能なものであった。 AEによる治療中止は26例だった。

結論

主要評価項目は未達も、 慎重な症例選択で選択肢となる可能性

岩田氏は 「本試験は、 主要評価項目である同側浸潤癌の5年累積発生割合を達成しなかった。 一方で腫瘍径が小さい症例など、 慎重に選択されたER陽性HER2陰性の低リスクDCISにおいては、 手術を行わないTAM単独療法が選択肢となり得る可能性が示唆された」 と報告した。

出典

¹⁾ JAMA. 2025 Mar 18;333(11):972-980.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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