海外ジャーナルクラブ
16日前

Murthyらは、 慢性腎臓病 (CKD) 患者における心血管疾患 (CVD) リスク予測式PREVENTの予測性能を米国の退役軍人コホートで検証した。 その結果、 腎機能障害の進行に伴いPREVENTの識別能は低下した。 また、 腎機能障害が比較的軽度の患者では、 尿中アルブミン・クレアチニン比 (UACR)を追加したPREVENTの識別能がPREVENTの基本予測式を上回ることも示された。 研究結果はClin J Am Soc Nephrol誌に発表された。
対象は単一の医療システムに属する米国退役軍人のCKD患者に限定されており、 医療環境や人種・性別構成の異なる集団にPREVENT式の予測性能を一般化できるかは不明で、 日本人集団での検証が必要です。
🔢 eGFR の計算
📖米国の心血管・腎・代謝 (CKM) 症候群ガイドライン2026 : 評価と治療の要点
心血管腎代謝 (CKM) 症候群の増加は公衆衛生上の課題であり、 心血管死の主要な原因となっている。米国心臓協会 (AHA)が開発したPREVENTはCVDの予測式として用いられているが、 著者らはCKD患者および腎機能別の各層におけるPREVENTの予測性能を評価し、Pooled Cohort Equations (PCE) と比較した。
対象はeGFR測定値のデータを有する米国退役軍人で、 単一の大規模医療システムに属する集団である。 対象者は以下の3群に分類された。
評価の対象はCVD、 動脈硬化性心血管疾患 (ASCVD)、 心不全 (HF) のPREVENT基本式と、 アルブミン尿を用いたadd-on式である。
予測式の性能はC統計量を指標とする識別能と較正曲線の勾配 (calibration slope) を指標とする較正能に基づき評価した*。
全体のC統計量はPREVENT-CVDが0.651、 PREVENT-ASCVDが0.633、 PREVENT-HFが0.673であった。 ASCVDの識別能はPCEの0.629と比べてPREVENTでは0.633とわずかに優れていた。 また、 CVD、 ASCVD、 HFの3つのPREVENT基本予測式のいずれも、 腎機能障害の進行とともに識別能が低下した。
PREVENTの較正曲線の勾配は0.78 ~ 1.27の範囲であった。 PREVENT-ASCVDの較正勾配は1.27で、 PCEの0.53よりも1に近かった。
尿中アルブミン/クレアチニン比 (UACR) の測定値データが得られた集団では、 腎機能障害が比較的軽度の患者において、 PREVENTの基本予測式と比べてUACRを追加したadd-on式の識別能が優れることが示された。 PREVENT-CVDのC統計量はeGFR>60mL/分/1.73㎡の患者ではUACR add-on式が0.624、 基本予測式が0.607、 eGFR 30-59mL/分/1.73㎡の患者ではUACR add-on式が0.586、 基本予測式が0.563であった。 同様の傾向はPREVENT-ASCVDおよびPREVENT-HFのUACR add-on式でも認められた。
著者らは、 「CKD患者の集団ではPREVENT予測式は比較的早期のCKDおよびCKM症候群の患者で最も良好な予測性能を示した。 このことは、 疾患予防および疾患進行抑制を目的とした治療介入を適切な時期に実施する機会となる可能性を示している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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