【PERSEUS】移植適応のある新規多発性骨髄腫へのダラツムマブでPFS改善
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HOKUTO編集部

4ヶ月前

【PERSEUS】移植適応のある新規多発性骨髄腫へのダラツムマブでPFS改善

【PERSEUS】移植適応のある新規多発性骨髄腫へのダラツムマブでPFS改善
大量化学療法と自家幹細胞移植の適応がある新規診断の多発性骨髄腫患者 (NDMM) において、 VRd (プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ+免疫調節薬レナリドミド+デキサメタゾン) 導入・地固め療法およびレナリドミド維持療法への抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブの上乗せ効果を検証した第III相無作為化比較試験PERSEUSの結果から、 主要評価項目である無増悪生存期間 (PFS) の有意な改善が示された。 オランダ・Erasmus MC Cancer InstituteのPieter Sonneveld氏が発表した。 

背景

ダラツムマブは新規診断された多発性骨髄腫患者の治療におけるさまざまなレジメンとの併用が承認されている。 第Ⅱ相非盲検実対照無作為化比較試験GRIFFINでは、 新規に診断された多発性骨髄腫の移植適応患者を対象に、 ダラツムマブ+RVd (レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン) 導入療法・地固め療法、 ならびにD-R (ダラツムマブ+レナリドミド) 維持療法の併用療法の有効性と安全性が示された。 

本試験では、 新規診断された多発性骨髄腫の移植適応患者を対象に、 ダラツムマブ+VRd (D-VRd) 導入・地固め療法と、 D-R維持療法の有効性と安全性が、 VRd導入・地固め療法+レナリドミド維持療法単独と比較して検討された。

研究デザイン

対象

大量化学療法と自家幹細胞移植の適応がある18~70歳の新規診断多発性骨髄腫で、 ECOG PSが0~2の患者

方法

709例を以下の2群に1 : 1 で無作為に割り付け、 全例に28日4サイクル導入療法、 28日2サイクルの地固め療法、 および維持療法を実施した。

D-VRd群 (355例)

  • 導入療法 : ダラツムマブ1,800mg (1~2サイクル目は1週1回、 3~4サイクル目は2週1回、 維持療法中は4週毎に投与) +VRd*
  • 地固め療法 : ダラツムマブ1,800mg (2週1回) +VRd
  • 維持療法 : ダラツムマブ1,800mg (4週1回) +レナリドミド10mg (1日1回) を少なくとも24ヵ月間以上実施し、 完全奏効 (CR) 以上を示し、 かつ最小残存病変 (MRD) 陰性が少なくとも12ヵ月間継続した場合にのみ中止した。 CRやMRD陰性でなくなった場合は再開され、 病勢進行もしくは毒性により中止するまで継続した。
*VRd : ボルテゾミブ1.3mg/m² 1、 4、 8、 11日+レナリドミド25mg 1~21日+デキサメタゾン40mg 1~4日、 9~12日

VRd群 (354例)

導入療法・地固め療法はVRdのみ、 維持療法はレナリドミドのみ

評価項目

主要評価項目

無増悪生存期間 (PFS)

副次評価項目

全奏効率 (完全奏効[CR]以上)、 10⁻⁵を閾値としたMRD陰性率、 全生存期間 (OS)

研究結果

追跡期間中央値

47.5ヵ月

患者背景、 治療状況 (D-VRd群、 VRd群)

両群で概ね一致

  • 年齢中央値 : 59.0歳、 61.0歳
  • 男性 : 57.9%、 59.4%
  • ISS Stage Ⅲ : 15.5%、 14.2%
  • 細胞遺伝学的ハイリスク群 : 21.4%、 22.0%
  • 導入療法および地固め療法の完遂割合 : 89.5%、 86.2%
  • 自家幹細胞移植の治療歴 : 89.7%、 87.0%
  • 維持療法移行割合 : 91.7%、 86.5%
  • 治療中断 : 25.9%、 54.2%
  • 有害事象により治療中止に至った割合 : 9.1%、 22.5%
  • 疾患進行により治療中止に至った割合 : 8.3%、 20.7%

PFS率 (48ヵ月時)

  • D-VRd群 : 84.3%
(95%CI 79.5-88.1%)
  • VRd群 : 67.7%
(95%CI 62.2-72.6%)
RR 0.42 (95%CI 0.30-0.59)、 p<0.0001

全奏効率 (CR以上)

  • D-VRd群 : 87.9%
  • VRd群 : 70.1%
オッズ比 3.13、 p<0.0001

MRD陰性患者の割合 (閾値10⁻⁵)

  • D-VRd群 : 75.2%
  • VRd群 : 47.5%
p<0.0001

12ヵ月間MRD陰性状態が持続した患者の割合

  • D-VRd群 : 64.8%
  • VRd群 : 29.7%
p<0.0001

OS

両群ともに中央値は未到達であった。

安全性評価 (D-VRd群、 VRd群)

  • 重篤な有害事象の発現率 : 57.0%、 49.3%
  • 治療中止に至った有害事象の発現率 : 8.8%、 21.3%

Sonneveld氏らの結論

大量化学療法と自家幹細胞移植の適応がある新規多発性骨髄腫患者において、 VRd導入療法および地固め療法、 ならびにレナリドミド維持療法にダラツムマブを追加することで、 PFSが有意に改善した。 さらに、 全奏効率およびMRD陰性率も上昇した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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