海外ジャーナルクラブ
1年前
Staplinらは、 Spanish Ambulatory Blood Pressure Registryに登録された5万9,124例の血圧データを基に、 外来血圧や24時間自由行動下血圧が全死亡や心血管死のリスクとどのように関連するかを観察コホート研究で検討。 その結果、 自由行動下血圧の中でも特に夜間血圧が全死亡および心血管死亡リスクの予測能力が高かったと報告した。 本研究はLancetにおいて発表されました。
高血圧患者の外来での血圧測定は、 科学的根拠よりもむしろ患者さんと実際にふれあうことによって和やかな雰囲気を作り出し、 安心感や親近感を提供しているように思います。 またもう一点、 本研究では夜間血圧と死亡リスクについて言及していますが、 夜間血圧が高くてERを受診する患者さんがいらっしゃいますがその患者さんたちの長期予後がどうなのか、 気になるところです。
自由行動下血圧は、 診療所血圧よりも包括的な評価を提供し、 健康アウトカムをよりよく予測することが報告されている。
Spanish Ambulatory Blood Pressure Registryに登録された59124例
追跡期間中に、 5万9,124例のうち12.1%(7,174例) が死亡し、 そのうち4.0%(2,361例) が心血管系の原因により死亡した。
5分位群の上位4群を対象に、 収縮期血圧1SD増加当たりの死亡の調整HRを推定したところ、 24時間収縮期血圧の全死亡の調整HRは1.41 (95%CI 1.36-1.47) で、 外来収縮期血圧の1.18 (95%CI 1.13-1.23) よりも強く関連していた。
外来血圧で調整すると,24時間自由行動下血圧は全死亡と強い関連を示した (HR 1.43、 95%CI 1.37-1.49)。 一方で、 24時間血圧で調整すると外来血圧と全死亡の関連は減弱した (HR 1.04、 95%CI 1.00-1.09)。
外来収縮期血圧の予測能を100%と仮定して比較した場合、 24時間血圧の夜間収縮期血圧の予測能は全死亡591%、 心血管死亡604%と高かった。
正常血圧の人に対する全死亡リスクの上昇は、 仮面高血圧 (HR 1.24、 95%CI 1.12-1.37) と持続性高血圧 (HR 1.24、 95%CI 1.15-1.32) で有意に高く、 心血管死亡リスクの増加も、 仮面高血圧 (HR 1.37、 95%CI 1.15-1.63) と持続性高血圧 (HR 1.38、 95%CI 1.22-1.55) で有意に高く、 白衣高血圧ではリスクの増加は見られなかった。
自由行動下血圧、 特に夜間血圧は、 外来血圧よりも全死亡および心血管死のリスクについてより多くの情報を提供した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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