海外ジャーナルクラブ
10日前
Ducreux らは、 切除不能な局所進行膵癌 (LAPC) 患者を対象に、 FOLFIRINOX (フルオロウラシル+オキサリプラチン+イリノテカン) の有効性および安全性をゲムシタビンを対照に第III相無作為化比較試験PRODIGE 29-UCGI 26 (NEOPAN) で検証した。 その結果、 FOLFIRINOXはゲムシタビンと比べて無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善し、 忍容性も良好であった一方で、 全生存期間 (OS) で有意差は認められなかった。 試験結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
本試験はPFSを主要評価項目として設定し有意差が認められた一方で、 OSは副次評価項目の一つとして評価されたが有意差には至らなかったということで、 研究としては一定の有効性を示していますが評価が難しいといえます。
膵癌の30%以上は局所進行により切除不能であり、 その場合のOS中央値は1年未満である。
FOLFIRINOX療法は転移性膵癌の治療でゲムシタビンより優れているが、 切除不能な局所進行膵癌の標準治療はゲムシタビンである。
そこで、 切除不能な局所進行膵癌に対するFOLFIRINOXとゲムシタビンの有効性を第III相無作為化比較試験で比較した。
ECOG PS≦1の切除不能な局所進行膵癌患者171例が以下の2群に割り付けられた。
主要評価項目はPFSであり、 主な副次評価項目はOS、 治療失敗までの期間 (TTF)、 QOL、 安全性であった。
最長5年間追跡された。 追跡期間中央値は59.6ヵ月 (95%CI 42.3ヵ月-未到達) で、 イベント168件が観察された。
主要評価項目であるPFS中央値は、 FOLFIRINOX群が9.7ヵ月 (95%CI 7.0-11.7ヵ月) で、 ゲムシタビン群の7.7ヵ月 (同6.2-9.2ヵ月) と比べて有意に改善した (HR 0.7 [95%CI 0.5-1.0]、 p=0.04)。
OS中央値は、 FOLFIRINOX群が15.7ヵ月 (95%CI 11.9-20.4ヵ月) で、 ゲムシタビン群の15.4ヵ月 (95%CI 11.7-18.6ヵ月) と有意差が認められなかった (HR 1.02 [95%CI 0.73-1.43]、 p=0.95)
著者らは 「FOLFIRINOXはゲムシタビンと比べてPFSを有意に改善し、 忍容性も良好であったが、 OSで有意差は認められなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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