「患者さんに苛立った」 ときの具体的な対処法
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HOKUTO編集部

11ヶ月前

「患者さんに苛立った」 ときの具体的な対処法

 「患者さんに苛立った」 ときの具体的な対処法
長らく4人の腫瘍内科医による共同企画としてお届けしてきた 「がん診療の羅針盤」 シリーズは、 2025年4月より新たに3人の先生方に参画いただき、 前回から7人の新体制でスタートしました。 引き続き、 がん診療専門医でない方でもちょっとしたヒントが得られるようなエッセンスをお届けしていきます。 第22回は虎の門病院の山口雄先生から「患者さんに苛立ってしまったら」 です! ぜひご一読ください。
 「患者さんに苛立った」 ときの具体的な対処法

なぜ患者さんに苛立ってしまうのか

日々の診療の中で、 患者さんに対して苛立ちを感じてしまうことはありませんか?私自身、 若い頃はよくありました (最近もたまにありますが…) 。

原因 : 自身の"治療の型"への固執

苛立ちを感じる瞬間

こちらがエビデンスをもとに 「これが最善」 と考えて提案している治療を、 患者さんがなかなか受け入れてくれない。 不合理と思えるような選択をされることもあれば、 無理難題とも思えるような要求をされることもある。 時には、 「それ、 どこで聞いた話ですか…?」 と聞き返したくなるような“情報”を持ち出されることも……。

そのような場面に出会うと、 医師であっても、 どうしても苛立ちを覚えることがあります。

原因は自分の中の“型”?

しかし、 その感情の背景には、 私たち自身が“治療の型”にこだわりすぎているという側面があるのかもしれません。 つまり、 「この状態にはこの治療が正しい」 という自分なりの枠組みに患者さんを当てはめようとしており、 そこから外れる患者さんに苛立っているという構図です。

対処法 : 背景の理解と課題の分離

患者さんの 「最善」 を理解する

私たちはどうしても、 「最も効果の高い治療=正しい」 と考えがちです。 もちろん、 ガイドラインや臨床試験の結果に基づいた判断は重要ですが、 がん治療に絶対的な正解はありません。 患者さんの価値観や生活背景、 人生観によって、 「最善の選択」 は人それぞれ異なります。

ですから、 私たちが納得しにくい選択を患者さんがする場合には、 まずその背景を掘り下げてみることが大切です。 私たちの想定から外れたように見える選択や要求にも、 その人なりの筋が通っていることがあり、 それを知ることで納得感を持てることがあります。

「課題の分離」 で気持ちを整理する

また、 感情を整えるヒントとして、 アドラー心理学の 「課題の分離」 という考え方があります。 これは 「誰の課題か」 を明確にし、 他人の課題には過度に介入しないという姿勢です。 治療を提案するのは医師の課題ですが、 それを選ぶかどうかは患者さん自身の課題です。

「馬を水辺に連れて行くことはできても、 水を飲ませることはできない」 ということわざがあります。 私たちができるのは、 最善の水辺まで丁寧に案内すること。 最終的に飲むかどうか (治療を受けるかどうか) は、 患者さんに委ねられています。

💬腫瘍内科医のTips

この視点を持つだけで、 苛立ちを少し客観的に見つめ直せるようになるかもしれません。

具体的な対応 : 受容・線引き・内省

まずは受け止め、 線引きは毅然と

患者さんが提案を受け入れない、 不合理に思える要求をしてくる——そんなときこそ、 まずは患者さんの気持ちや希望を受け止めることが大切です。 そのうえで、 医学的に許容できることとそうでないことを整理し、 後者については毅然とした態度でお伝えする必要があります。

💬腫瘍内科医のTips

単に 「できません」 と突き放すのではなく、  「できる範囲で対応したい」 という姿勢を示すことで、 信頼関係を損なわずに診療を継続できることもあります。

感情を振り返り、 成長につなげる

私たち医師も人間ですから、 苛立ちを感じるのは自然なことです。 大切なのは、 「なぜそのような感情が生じたのか」 を立ち止まって振り返ること。 これを繰り返すことで、 少しずつ患者さんの選択を尊重し、 柔軟に対応できるようになっていきます。 そうした姿勢こそが、 経験を重ねた医師のあり方なのではないかと私は思います。

解説医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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