海外ジャーナルクラブ
1年前
Broomeらは、 一次性免疫性血小板減少症 (特発性血小板減少性紫斑病) の患者を対象として、 抗胎児性Fc受容体 (FcRn) 抗体フラグメント製剤エフガルチギモドの有効性および安全性を二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相無作為化比較試験ADVANCE IVで検討した。 その結果、 エフガルチギモドは慢性期の特発性血小板減少性紫斑病における血小板数の持続的臨床効果に優れ、 忍容性も良好であることが明らかになった。 本研究はLancet誌において発表された。
本研究成果は治療効果も当然なのですが、 自己抗体を含むIgG抗体濃度が病態に大きく関わっていることを証明した意義が大きいです。 またプラセボで5%ほど有効性を示しているところも実臨床結果を捉えています(どのような研究でもプラセボは5-10%の効果を示すことが多いです)。
一次性免疫性血小板減少症は、 血小板抗原を標的とする自己抗体がその一部を媒介する自己免疫疾患で、 出血イベントや疲労、 QOLの低下を招く可能性がある。 エフガルチギモドは、 胎児性FcRnと結合し、 自己抗体を含むIgG抗体濃度を低下させる効果をもつと考えられている。
平均血小板数が30×10⁹/L未満であり、 過去に少なくとも1回の免疫性血小板減少症治療が奏効し、 ベースライン時に同時併用療法を受けているか、 過去に少なくとも2回目の免疫性血小板減少症治療を受けている、 慢性または持続性の一次性免疫性血小板減少症の患者 (18歳以上)
患者を以下の群に2:1で無作為に割り付けた。
慢性の免疫性血小板減少症の患者における血小板数の持続的臨床効果
主要評価項目を達成した慢性期患者の割合
補正後群間差:16% (95%CI 2.6-26.4、 p=0.032)
病勢コントロールを達成した週数の中央値
p=0.0009
エフガルチギモドの忍容性は良好で、 ほとんどの有害事象の重症度は軽度から中等度であった。
頻度の高い有害事象
頭痛
血尿
点状出血
エフガルチギモドはプラセボに比べて、慢性期の一次性免疫性血小板減少症における持続的な血小板数反応において有意に優れていた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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