HOKUTO編集部
1ヶ月前

切除後のメルケル細胞癌(MCC)患者を対象に、 ペムブロリズマブ補助療法を標準治療の経過観察と比較した第Ⅲ相無作為化比較試験STAMP(EA6174)の最新解析結果が明らかになった。 同試験では主要評価項目の1つである無再発生存期間(RFS)についてはペムブロリズマブ補助療法による有意な改善は認められなかったものの副次評価項目の無遠隔転移生存期間 (DMFS)については有意な延長が示されていたが、 探索的解析から同療法がMCC特異的RFSの改善に関連していることなども明らかになった。 米・New York University School of MedicineのJanice M. Mehnert氏が発表した。
MCCは希少かつ高悪性度の神経内分泌系皮膚癌で、切除後も再発リスクが高く予後不良である。進行MCCに対しては抗PD-1/PD-L1抗体の有効性が示されているが、術後補助療法としての免疫チェックポイント阻害薬の意義は確立されていなかった¹⁾²⁾³。
STAMP(EA6174)は、 切除後MCCの補助療法としての免疫チェックポイント阻害薬の有用性について検討した初の第Ⅲ相無作為化比較試験である。 同試験については、 RFSと全生存期間 (OS) の2つの主要評価項目 (co-primary endpoints) のうちRFSについては有意な改善は示されず、 OSはデータがimmatureであったが、 副次評価項目の1つであるDMFSについては有意な延長が示されたとする結果が報告されている (追跡期間中央値40ヵ月)。 今回は、 追跡期間中央値47ヵ月におけるMCC特異的アウトカムの探索的解析を含む最新解析結果が報告された。
センチネルリンパ節生検 (SLNB) を行っていないstage IからstageⅢBまでの切除後MCC患者293例が、 以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。
事前に規定された主要評価項目 (co-primary endpoints) はRFSとOS、 副次評価項目はDMFS、 安全性、 忍容性だった。 また、 今回の最新解析ではMCC特異的RFSおよびMCC特異的OSの感度解析も実施された。なお、 COVID-19パンデミックによる症例登録の遅延を受け、当初500例の予定を280例に縮小するなどの試験デザインの再設計が行われた。データカットオフは2026年2月19日だった。
主要評価項目のうちRFSについてはペムブロリズマブ群で数値上の改善は示されたものの両群間に有意差は認められなかった(HR 0.77 [90%CI 0.55-1.08]、片側p=0.102)。12ヵ月RFS率はペムブロリズマブ群で83%群、 標準治療群で72%、24ヵ月RFS率はそれぞれ72%、 66%だった。OSについては両群間に差は認められず(HR 1.62 [90%CI 0.94-2.81]、p=0.928)、死亡はペムブロリズマブ群で23例、標準治療群で15例だった。
事前に規定された副次評価項目のDMFSは、 ペムブロリズマブ群で有意な延長が認められた(HR 0.58 [90%CI 0.35-0.96]、片側p=0.035)。18ヵ月DMFS率はペムブロリズマブ群で87%、標準治療群で80%であり、 標準治療と比べてペムブロリズマブ補助療法は遠隔転移のリスクを低減することが示された。
MCC特異的RFSの感度解析ではペムブロリズマブ群で良好な傾向が示され(HR 0.65 [95%CI 0.41-1.01]、p=0.064)、24ヵ月時のMCC特異的RFS率はペムブロリズマブ群で77%、 標準治療群で67%だった。MCC特異的OSについては両群間に差は認められなかった(HR 1.54 [95%CI 0.59-3.62]、p=0.418)。
放射線治療のタイミング別の解析では、無作為化前に先行して放射線治療を実施した集団において、 ペムブロリズマブ群でRFS(HR 0.48 [90%CI 0.28-0.84]、片側p=0.014)とDMFS(HR 0.24 [90%CI 0.10-0.62]、p=0.004)のいずれについても有意な改善が示された。一方、試験中に同時に放射線治療を実施した集団ではペムブロリズマブによるRFSやDMFSの改善は認められなかった。
安全性に関しては、 Grade3以上の治療関連有害事象(ペムブロリズマブまたは放射線治療に起因)の発現率がペムブロリズマブ群で31%、標準治療群で4%だった。
Mehnert氏は、 ペムブロリズマブ補助療法によるRFSの有意な改善が認められなかった点について、 「登録患者の平均年齢が高かったことや、 登録期間中のCOVID-19のパンデミックが結果に影響した可能性がある」 とした上で、 「MCC特異的RFSの方がペムブロリズマブの有効性をより正確に反映し得る」 との見解を示した。 また、 「ペムブロリズマブ補助療法は放射線治療と同時ではなく、 放射線治療後に実施する方がベネフィットは大きい可能性がある」 と結論付けた。
ただし、 同氏は 「今回の解析結果はペムブロリズマブ補助療法を全ての患者にルーチンに実施することを支持するものではなく、遠隔転移リスクが高い患者で考慮し得るものである」 と強調した。
1) N Engl J Med. 2016; 374: 2542-52.
2) Am J Clin Dermatol. 2024; 25: 987-996.
3) J Immunother Cancer. 2021; 9: e002646.
【本邦初】メルケル細胞癌ガイドラインが発表、 策定委員・永瀬氏が要点を解説
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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