CRAFITYスコア2点の未治療HCC、 免疫療法よりもレンバチニブでPFS良好
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HOKUTO編集部

2ヶ月前

CRAFITYスコア2点の未治療HCC、 免疫療法よりもレンバチニブでPFS良好

CRAFITYスコア2点の未治療HCC、 免疫療法よりもレンバチニブでPFS良好
CRAFITYスコアが2点 (CRP≧1mg/dLかつAFP≧100ng/mL)の肝細胞癌 (HCC) 患者の1次治療におけるチロシンキナーゼ阻害薬レンバチニブ単剤療法と免疫療法の有効性および安全性を、 国内11施設で後方視的に比較した結果、 PFSと病勢制御率がレンバチニブ群で有意に良好であり、 同スコアが1次治療選択において有用なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。 京都大学大学院消化器内科学/倉敷中央病院消化器内科の上野真行氏が発表した。 

背景

免疫療法不応なHCCの予測が課題

HCCの1次治療として、 免疫療法の適応があり消化管出血のリスクがない症例では抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+抗VEGF抗体ベバシズマブ (Atezo+Bev) 療法等の免疫療法が強く推奨されている。 しかし上野氏らの研究グループは、 個々の患者に最適な治療薬を届けるためには事前のAtezo+Bev不応の予測因子の特定が課題と考え、 CRAFITYスコアが2点の症例ではAtezo+Bev療法の効果が不良であることを既に報告していた。

研究の概要

1次治療としてLENまたは免疫療法を行った92例を後方視的に解析

対象は、 国内11施設で2018年3月~23年12月に1次治療としてレンバチニブ (LEN) 療法 (416例)または免疫療法 (373例)を開始した18歳以上のHCCのうち、 治療開始時のCRAFITYスコアが2点を示した患者92例だった。 うち、 50例がLEN療法 (LEN群) を、 42例が免疫療法 (免疫療法群) を受けた。 免疫療法群のうち、 40例がAtezo+Bev療法、 2例がデュルバルマブ+トレメリムマブ療法を受けた。

主要評価項目はPFS

主要評価項目はRECIST v1.1に基づく無増悪生存期間 (PFS) で、 副次的評価項目は全生存期間 (OS)、 奏効率、 病勢制御率、 治療関連有害事象 (TRAE) だった。

研究の結果

患者背景は両群で概ね一致

両群間で概ねバランスが取れていた。 ただし、 LEN群は主にAtezo+Bev療法承認前、 免疫療法群は全例がAtezo+Bev療法承認後の症例であった。

mPFSは6.0ヵ月、 LEN群で有意に良好

PFS中央値 (mPFS) は、 免疫療法群の2.3ヵ月と比較し、 LEN群で6.0ヵ月と有意に良好であった (HR 0.52 [95%CI 0.30-0.88]、 p=0.014)。 PFSサブグループ解析では、 LEN群の免疫療法群に対する優位性が概ね一貫して認められた。

OS、 病勢制御率もLEN群で良好な傾向

OS中央値は、 LEN群 9.8ヵ月、 免疫療法群 5.5ヵ月で有意差はないもののLEN群で良好な傾向が見られた (HR 0.68 [95%CI 0.42-1.11]、 p=0.123)。

奏効率は、 それぞれ20.0%、 11.9%と両群で差は認められなかった (p=0.398) ものの、 病勢制御率はそれぞれ62.0%、 28.6%とLEN群で有意に良好な結果だった (p=0.002)。

TRAEはLEN群で多く報告

Gradeを問わないTRAEの発現率は、 LEN群 90.0%、 免疫療法群 64.3% (p=0.005)、 Grade3~4のTRAEの発現率はそれぞれ46.0%、 23.8% (p=0.031)と、 いずれもLEN群で有意に多く報告された。

結論

CRAFITYスコアが有用なバイオマーカーとなる可能性

上野氏は 「CRAFITYスコア 2点のHCC患者に対する1次治療において、 レンバチニブは免疫療法に比べPFSおよび病勢制御率が有意に良好であった。 CRAFITYスコアは、 HCC患者に対する1次治療レジメンの選択において有用なバイオマーカーとなりうる」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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