【ASC4FIRST】初発の慢性期CMLへのアシミニブ、 MMR達成率を改善
著者

HOKUTO編集部

6ヶ月前

【ASC4FIRST】初発の慢性期CMLへのアシミニブ、 MMR達成率を改善

【ASC4FIRST】初発の慢性期CMLへのアシミニブ、 MMR達成率を改善
初発のPh+CML-CP患者におけるBCR-ABL1特異的アロステリック阻害薬アシミニブの有効性について、 医師選択TKIを対照に検証した第Ⅲ相多施設オープンラベル無作為化比較試験ASC4FIRSTの結果より、 MMR達成率が有意に改善した。 オーストラリア・South Australian Health & Medical Research InstituteのTimothy P. Hughes氏が発表した。 同試験の詳細は、 N Engl J Med (2024年5月31日オンライン版) に同時掲載された¹⁾。

CML-CPへのアシミニブの有効性が初報告

新規に診断された慢性期の慢性骨髄性白血病 (CML-CP) 患者の多くは、 現在標準治療となっているチロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) による治療に十分な反応が見られない。 第2世代TKIの長期使用は、 有害事象 (AE) を引き起こし、 患者のアドヒアランスに悪影響を及ぼす。

本試験は、 新規に診断されたフィラデルフィア染色体陽性 (Ph+) CML-CP患者を対象に、 TKIとアシミニブを比較した最初で唯一の試験であり、 今回その主解析の結果が報告された。

48週時点のMMR達成率を比較検証

対象

TKIの投与歴がない初発のPh+CML-CP患者

方法

405例を以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。

ELTSスコアおよび無作為化前に担当医が患者と相談の上で選択したTKI(イマチニブ[IMA]または第2世代TKI[2G])で層別化した。
無作為化は、 事前に担当医がイマチニブまたは第2世代TKIのどちらを選択するかを判断した上で各群に割り付けた。 アシミニブ群、 医師選択TKI群のどちらにも、 無作為化前にイマチニブが選択されたグループと、 第2世第TKIが選択されたグループが含まれていた。
  • ASC群 : 201例

(ASC IMA群 101例、 ASC 2G群 100例)

アシミニブ80mgを1日1回投与
  • IS-TKA群 : 204例

(IS-TKI IMA群 102例、 IS-TKI 2G群 102例)

イマチニブ、 ニロチニブ、 ダサチニブ、 ボスチニブから医師が選択して標準用量を投与

評価項目

主要評価項目

  • ASC群 vs IS-TKI群の比較における48週時点での分子遺伝学的大寛解 (MMR) 達成率
  • 無作為化前にイマチニブが選択された症例群に限定して評価した、 ASC IMA群 vs IS-TKI IMA群の比較における48週時点でのMMR達成率

MMR達成率は67.7%に

患者背景

両群で概ね同様だった。

  • 年齢中央値 : 50.5~52.0歳
  • 男性 : 61.3~65.2%

【フラミンガムリスクスコア内訳】

  • Low : 54.2~54.9%
  • Intermediate : 15.9~21.6%
  • High : 23.5~29.9%

【ELTSスコア内訳】

  • Low : 60.7~61.3%
  • Intermediate : 27.9%
  • High : 10.8~11.4%

治療状況

追跡期間中央値

  • ASC群 : 16.3ヵ月
  • IS-TKI群 : 15.7ヵ月

データカットオフ時点*での治療継続率

  • ASC群 : 86.1%
  • IS-TKI群 : 68.6%
*2023年11月28日

IS-TKI 2G群の選択薬剤内訳

  • ニロチニブ : 48%
  • ダサチニブ : 41%
  • ボスチニブ : 11%

主要評価項目

ASC群 vs IS-TKI群

【48週時点のMMR達成率】

  • ASC群 : 67.7%
  • IS-TKI群 : 49.0%
差 18.9%㌽(95%CI 9.6-28.2%㌽)、 p<0.001

【12週時の分子遺伝学的早期奏効 (EMR) 率】

  • ASC群 : 89.6%
  • IS-TKI群 : 70.1%

【48週時分子遺伝学的奏効 (MR4.0*) 率】

  • ASC群 : 38.8%
  • IS-TKI群 : 20.6%
*BCR::ABL1遺伝子レベル≦0.01%

【48週時MR4.5**率】

  • ASC群 : 16.9%
  • IS-TKI群 : 8.8%
**BCR::ABL1遺伝子レベル≦0.0032%

【サブグループ解析】

事前に規定された全てのサブグループにおいて、 ASC群のIS-TKI群に対する優位性が一貫して認められた。

ASC IMA群 vs IS-TKI IMA群

【48週時点のMMR達成率】

  • ASC IMA群 69.3%
  • IS-TKI IMA群 40.2%
差 29.6%㌽ (95%CI 16.9-42.2%㌽) 、 p<0.001

【12週時EMR率】

  • ASC IMA群 : 88.1%
  • IS-TKI IMA群 : 59.8%

【48週時のMR4率】

  • ASC IMA群 : 42.6%
  • IS-TKI IMA群 : 14.7%

【48週時のMR4.5率】

  • ASC IMA群 : 17.8%
  • IS-TKI IMA群 : 4.9%

副次評価項目

ASC 2G群 vs IS-TKI 2G群

【48週時点のMMR達成率】

  • ASC 2G群 : 66.0%
  • IS-TKI 2G群 : 57.8%
差 8.2%㌽(95%CI -5.1~21.5%㌽)

【12週時EMR率】

  • ASC 2G群 : 91.0%
  • IS-TKI 2G群 : 80.4%

【48週時MR4率】

  • ASC 2G群 : 35.0%
  • IS-TKI 2G群 : 26.5%

【48週時のMR4.5率】

  • ASC 2G群 : 16.0%
  • IS-TKI 2G群 : 12.7%

有害事象 (AE)

Grade3以上のAE発現率

  • ASC群 : 38.0%
  • IS-TKI IMA群 : 44.4%
  • IS-TKI 2G群 : 54.9%

治療中止に至ったAE発現率

  • ASC群 : 4.5%
  • IS-TKI IMA群 : 11.1%
  • IS-TKI 2G群 : 9.8%

動脈閉塞イベントの発現率

(全Grade、 Grade≧3)

  • ASC群 : 1.0%、 0.5%
  • IS-TKI IMA群 : 0%、 0%
  • IS-TKI 2G群 : 2.0%、 1.0%

アシミニブが初発CML-CPの治療選択に

以上より、 Hughes氏は 「初発のCML-CPにおいて、 アシミニブは担当医選択TKIやイマチニブと比較し、 優れた有効性および良好な安全性・忍容性を示した唯一の薬剤であり、 同患者に対する治療選択薬となる可能性がある」 と報告した。


出典

1) N Engl J Med. 2024年5月31日オンライン版

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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