海外ジャーナルクラブ
13日前
Kwiatkowskiらは、 輸血依存性の重症βサラセミア (TDT) を対象に、 遺伝子治療betibeglogene autotemcel (beti-cel) の有効性および安全性について、 第Ⅲ相多施設共同非盲検単群試験HGB-212で検討した。 その結果、 beti-cel投与による輸血非依存性の達成と良好な安全性が示された。 本研究はLancetにおいて発表された。
本研究は約4年間の追跡研究ですが、 長期アウトカムとして15年間の追跡も行われるようです。
TDTは、 生涯にわたる輸血と鉄過剰症および合併症管理が必要な重篤な遺伝疾患である。
beti-celは、 BB305レンチウイルスベクターで形質導入した自己造血幹細胞および前駆細胞を用いて遺伝子治療を行うことで、 患者の輸血非依存性を実現する可能性がある。
フランス、 ドイツ、 ギリシャ、 イタリア、 英国、 米国の8施設において、 重症βサラセミアを引き起こすβ⁰/β⁰、 β⁰/β⁺ᴵⱽˢ⁻ᴵ⁻¹¹⁰またはβ⁺ᴵⱽˢ⁻ᴵ⁻¹¹⁰/β⁺ᴵⱽˢ⁻ᴵ⁻¹¹⁰の遺伝子型を有し、 過去2年間に少なくとも年間100mL/kg、 または8回以上のpRBC輸血歴がある、 臨床的に安定したTDT患者20例を対象とした。
患者は造血幹細胞・造血前駆細胞 (HSPC) 動員および用量調整ブスルファンを用いた骨髄破壊的前処置を受けた後、 beti-celを静脈内投与された。 beti-cel投与後は24ヵ月間の追跡が行われた。
主要評価項目は、 beti-celの投与を受けた全患者 (移植集団) 18例における輸血非依存状態*の達成割合とされた。
安全性は、 本試験において治療を開始した全患者 (ITT集団) 20例を対象に評価された。
移植集団における遺伝子型は、β⁰/β⁰が12例 (67%)、 β⁰/β⁺ᴵⱽˢ⁻ᴵ⁻¹¹⁰が3例 (17%)、 β⁺ᴵⱽˢ⁻ᴵ⁻¹¹⁰/β⁺ᴵⱽˢ⁻ᴵ⁻¹¹⁰が3例 (17%) だった。
2023年1月30日時点 (追跡期間中央値47.9ヵ月) における最終フォローアップまでの輸血非依存性の達成・維持割合は16/18例 (89%) だった*。
有害事象は移植を受けた集団の全例に認められたものの、 beti-celに関連する重篤な有害事象や死亡例は示されなかった。
著者らは 「重症TDTに対し、 beti-cel投与は患者の輸血非依存性を可能にすることが示された。 また、 beti-celで正常に近いヘモグロビン値を達成する可能性があり、 同種造血幹細胞移植のリスクや限界を考慮せず、 TDTの治癒を目指す治療選択肢になると考えられる」 と報告した。
なお、 輸血非依存性の持続性と長期安全性プロファイルを評価するため、 患者は合計15年間フォローアップされるという。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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