海外ジャーナルクラブ
23日前

Kimらは、 血栓回収療法を受けた脳梗塞患者を対象に、 定量的な梗塞体積測定 (volumetry) とAlberta Stroke Program Early Computed Tomography Score (ASPECTS) の予後予測能を、 韓国の全国多施設レジストリを用いた標的試験エミュレーションで比較した。 その結果、 体積測定で確認された広範囲脳梗塞はASPECTSによらず予後不良と一貫して関連し、 梗塞体積110mL超では血栓回収療法の有益性が消失することが示された。 研究結果はStrokeに発表された。
本研究は観察研究に基づくレジストリ解析であり、 特にベースラインCTPを施行した非血管内治療 (EVT) 患者数が限られていたため、 すべての画像モダリティにおいてEVTと内科的治療を直接比較することはできませんでした。
近年の臨床試験では、 広範囲脳梗塞 (large-core stroke) に対する血栓回収療法の有効性が示されており、 その患者選択にはASPECTSが実用的指標として用いられてきた。
しかし、ASPECTSによる部位に基づいたスコアリングが、 再灌流療法の有効性が消失する梗塞体積の上限である 「治療効果の限界 (therapeutic ceiling) 」 を捉えることができるのかどうかは明らかでなかった。
対象は、 韓国の多施設レジストリ (2022~2024年) に登録され血栓回収療法を受けた脳梗塞患者552例。 平均年齢70.4±12.6歳、 男性319例 (57.8%) であった。
拡散強調画像 (DWI)、 CT灌流画像 (CTP)、 単純CT (NCCT) を用いた梗塞体積の定量化 (定量的梗塞体積測定) とASPECTSの予後予測能を比較し、 両指標の判定が不一致となる例を解析した。
主要評価項目は90日時点の予後不良 (modified Rankin Scale〈mRS〉5-6)* とした。 さらに梗塞体積ごとの治療効果を推定するため、 体積閾値で層別した標的試験エミュレーションを実施し、 90日時点のmRSの順序尺度シフトを主要評価項目として解析した。
ASPECTSでは広範囲脳梗塞 (large core) と判定されたもののDWIから算出した梗塞体積に基づく定量的評価ではlarge coreに該当しなかった群 (ASPECTSのみlarge core群) における予後不良の割合は11.8%であり、 small core群 (11.7%)と同程度であった。 多変量調整後もリスク上昇は認められなかった。
DWI、 CTP、 NCCTのいずれについても、 これらによる体積測定でlarge coreと判定されることは、 ASPECTSによらず一貫して予後不良に関連していた (DWIのみlarge core群における調整後OR 6.92, 95%CI 2.58~19.34)。
標的試験エミュレーションでは、 血栓回収療法の全体的な有益性は限定的であった (共通OR 0.56, 95%CI 0.31~1.03)。 体積別の解析では、 50~110mLの梗塞体積では血栓回収療法の有益性が認められたが (共通OR 0.38、 95%CI 0.15~0.97)、 梗塞の範囲が110mLを超えるとその有益性は消失した。
著者らは、 「定量的な梗塞体積測定はASPECTSと比べて予後予測能に優れていることが示されるとともに、 血栓回収療法の有効性がほとんど期待できない『治療効果の限界』として梗塞体積110mL超が特定された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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