【一挙解説】ASH 2024の注目演題は?-AML編-
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HOKUTO編集部

6日前

【一挙解説】ASH 2024の注目演題は?-AML編-

【一挙解説】ASH 2024の注目演題は?-AML編-
2024年12月7~10日に米・サンディエゴで開催された第66回米国血液学会 (ASH 2024) について、急性骨髄性白血病 (AML) に関する注目トピックスを紹介します (解説 : 大阪国際がんセンター 藤重夫氏) 。
※記事内Absrtactへのリンクは全てASH公式サイトに遷移します

ベネトクラクス併用療法

【第Ⅱ相】新規診断例へのベネトクラクス+強化化学療法

(Abstract#734)

初回の強化化学療法にBCL2阻害薬ベネトクラクスを上乗せする治療法の検討であった。 さまざまなサブグループが登録されていたが、 TP53変異例以外では非常に高い奏効率を示していた。 ただし、 70%程度が同種移植を受けていたため、 非移植例の成績は評価が難しいことに留意が必要である。

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【第Ib相】新規診断例へのベネトクラクス+強化化学療法

(Abstract#57)

新規診断AMLにおける導入療法としての強化化学療法 (標準用量のシタラビンおよびダウノルビシン : 7+3) へのベネトクラクス上乗せに関する検討である。 全体的に有望な成績を示していたが、 TP53変異例では少数ながら奏効を高めている結果は得られなかった。

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【第Ⅱ相】新規例への寛解導入療法、 ベネトクラクス+デシタビン vs 強化化学療法

(Abstract#971)

寛解導入としてベネトクラクス+デシタビンと強化化学療法を無作為化して比較するという非常に興味深い研究で、 ベネトクラクス+デシタビンは強化化学療法に劣らないという結果であった。

寛解導入療法後の地固め療法では通常化学療法に移行するという点を変更せず、 ベネトクラクス+デシタビンで治療を継続した場合、 どのような経過をたどるかが興味深い。 本邦ではベネトクラクス+アザチオプリン(Ven/Aza)しか使用できないが、 高リスク症例などでは、 ベネトクラクス+デシタビンでより奏効率が高いなど、 報告を詳しく見ると、 日本の実臨床でも参考になる研究であると感じられた。

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【医師主導】新規診断若年患者へのVen/Aza

(Abstract#969)

新規診断の若年AMLに対するVen/Aza併用療法の有効性を評価した医師主導試験。 結果は良好な成績が示されていたが、 過去の対照群で行われた強化化学療法と同等の成績であったようである。 同等の成績であれば、 負担が少ないVen/Azaが優れるという議論が出てくるかもしれない。 また今後は、 遺伝子変異のパターン等でどちらが優れるのかについて、 治療前に予測するシステムの開発が必要である。

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免疫チェックポイント阻害薬併用

【第Ⅰb/Ⅱ相】新規診断高リスク例へのmagrolimab+Ven/Aza、 最終臨床データ

(Abstract#735)

抗CD47抗体magrolimabのVen/Azaへの上乗せにおける有効性を検証した試験の最終報告であるが、 やはりあまり芳しくない結果であった。 ただし、 このようなネガティブな試験結果も報告することは重要である。

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【第Ⅱ相】Ven/Azaへのペムブロリズマブ上乗せ : BLAST AML-2試験

(Abstract#736)

本試験においても、 抗PD-1抗体ペムブロリズマブのVen/Azaへの上乗せ効果は示されなかった。 ただし、 Ven/Aza±αの試験の場合、 Ven/Azaを使用する際の予後予測モデルを導入すべきという点は、 他の試験でも参考となるであろう。

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CPX-351

【AML19サブ解析】高リスクAML/MDSへの治療、 CPX-351 vs FLAF-Ida療法

(Abstract#55)

英国NCRI の無作為化比較試験AML19のサブグループ解析。 新規診断の高リスクAMLまたは骨髄異形成症候群 (MDS) において、 ダウノルビシン・シタラビン内包リポソーム (CPX-351) はFLAG-Ida療法*に比べ優れる結果であった。 ただし、 奏効率はCPX-351でやや低かった一方で、 FLAG-Ida療法の毒性が特に2サイクル目で問題となっていた。 総合的には、 移植に移行しやすかったCPX-351がFLAG-Idaより優れていたと考えられる。

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*フルダラビン+シタラビン+G-CSF+イダルビシン

【AML18】高齢患者への治療、 CPX-351 vs DAGO2

(Abstract#59)

60歳以上のAMLに対するCPX-351と分割投与スケジュールの抗CD33抗体薬物複合体ゲムツズマブ オゾガマイシン+ダウノルビシン/シタラビン (DAGO2) 併用療法を比較評価した無作為化比較試験NCRI AML18の結果報告。 ほとんどが中等度リスクに該当する症例だったこともあり、 DAGO2群で有意な改善を示した。

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【第Ⅲ相】新規小児患者への治療、 CPX-351 vs DAGO

(Abstract#967)

今回、 同じような研究が成人でも行われているが、 低リスク小児の症例ではCPX-351群の無イベント生存率 (EFS) が有意に劣るという結果であった。 中間解析でこのことが明らかとなり、 登録中止となったとされている。 移植を行わない設定の場合、 全体的な治療強度も問題となるのかもしれない。

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イダルビシン上乗せ

【第Ⅲ相】初回完全寛解例への地固め療法 : 高用量シタラビン+イダルビシン併用

(Abstract#972)

AMLの地固め療法として、 高用量シタラビン (HD-AraC) にイダルビシンを上乗せする意義を検討した第Ⅲ相試験。 結果として、 イダルビシンを上乗せすることで再発リスクの軽減が示された。 特に同種移植を行わない場合には、 このような手段で再発リスクの低減を目指すストラテジーも検討できる。

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その他の新規薬剤

【第Ⅰ相】新規診断NPM1変異/KMT2A再構成例へのziftomenib+強化導入療法

(Abstract#214)

メニン阻害薬ziftomenibを強化化学療法 (7+3) に追加するレジメンを検証した第Ⅰ相試験KOMET-007の結果報告であり、 短期的には高い奏効を示していた。 今後、 このようなメニン阻害薬+多剤併用療法の開発が次々と進むことが予想される。

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【第I/Ⅱ相】再発/難治例へのrevumenib併用の全経口療法

(Abstract#216)

本試験もメニン阻害薬revumenib (SNDX-5613)併用療法に関する検討であり、 再発・難治AMLに対しては高い奏効率を示していた。 本治療レジメンに使われた薬剤が全て内服薬という点も魅力的である。

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【第Ⅲ相】再発/難治例へのuproleselan+化学療法

(Abstract#733)

E-セレクチン阻害薬uproleselanを化学療法に上乗せする有効性を検討した第Ⅲ相試験であったが、 全体としては有効性の評価項目は達成しなかった。 ただ、 一部のサブグループ解析ではメリットも示され、 再度検討が進められることを期待したい。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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