【IsKia試験】移植適応のある新規多発性骨髄腫へのKRd+イサツキシマブでMRD陰性率が改善
著者

HOKUTO編集部

5ヶ月前

【IsKia試験】移植適応のある新規多発性骨髄腫へのKRd+イサツキシマブでMRD陰性率が改善

【IsKia試験】移植適応のある新規多発性骨髄腫へのKRd+イサツキシマブでMRD陰性率が改善
新規に診断された多発性骨髄腫 (NDMM) の移植適応患者を対象に、 自己幹細胞移植 (ASCT) 前導入療法および地固め療法としてのプロテアソーム阻害薬カルフィルゾミブ+免疫調節薬レナリドミド+デキサメタゾン (KRd) +抗CD38抗体イサツキシマブ併用療法 (Isa-KRd) の有効性および安全性を検証した第Ⅲ相無作為化比較試験IsKiaの結果が示された。 Isa-KRdはKRdに比べて地固め療法後、 導入療法後、 ASCT後のいずれの治療段階でも微小残存病変 (MRD) 陰性率を有意に上昇させ、 安全性の新たな懸念も認められなかった。 イタリア・University of TorinoのFrancesca Gay氏が発表した。

研究デザイン

対象

移植適応がある70歳未満の多発性骨髄腫患者

FISH検査 (標準リスク/不明 vs. 高リスク、 高リスクはdel (17p) , t (4;14) , t (14;16) で定義) および国際病期分類 (ISS) (I vs.ⅡおよびⅢ) で層別化

方法

302例を以下の2群に1 : 1 で無作為に割り付け、 導入療法 (28日4サイクル)、 メルファラン200mg/m²+ASCT (MEL200-ASCT)、 地固め療法 (28日4サイクル) を実施した。

Isa-KRd群 (151例)

  • 導入療法
  • イサツキシマブ (Isa) : 1サイクル目の 1、 8、 15、 22 日目、 2-4サイクル目の1、 15日目に10 mg/kg静注投与
  • カルフィルゾミブ(K) : 1サイクル目の1日目に 20 mg/m²、 1サイクル目の8、 15日目および2-4サイクル目の1、 8、 15日目に56 mg/m²静注投与
  • レナリドミド (R) : 1~21 日目に25 mg経口投与
  • デキサメタゾン (d) : 1、 8、 15、 22 日目に40 mg経口投与
  • 地固め療法
  • Isa : 5-8サイクル目の1、 15日目に10 mg/kg静注投与
  • K : 5-8サイクル目の1、 8、 15日目に56 mg/m²静注投与
  • R : 1~21 日目に25 mg経口投与
  • d : 1、 8、 15、 22日目に40 mg経口投与

KRd群 (151例)

導入・地固め療法ともに、 K・R・dのみ

評価項目

主要評価項目

地固め療法後の次世代シーケンシング (NGS) によるMRD陰性率

副次評価項目

導入療法後のMRD陰性率、 無増悪生存期間 (PFS)、 MRD陰性維持率

研究結果

追跡期間中央値

21ヵ月 (データカットオフ日 : 2023年5月22日)

解析対象

導入療法と地固め療法を完了した患者は、 Isa-KRd 群で83%、 KRd 群で90%に認めた。

患者背景 (Isa-KRd群、 KRd群)

  • 年齢中央値 : 61歳、 60歳
  • 高リスク細胞遺伝学的異常 (HiRCA) : 18%、 19%
  • 2個以上のHiRCA : 9%、 8%
  • stageⅢ (R-ISS) : 7%、 7%
  • stageⅢ (R2-ISS) : 37%、 37%
  • stageⅣ (R2-ISS) : 6%、 4%

地固め療法後のMRD陰性率 (ITT)

閾値10⁻⁵

  • Isa-KRd群 : 77%
  • KRd群 : 67%
OR 1.67、 p=0.049

閾値10⁻⁶

  • Isa-KRd群 : 67%
  • KRd群 : 48%
OR 2.29、 p<0.001

地固め療法後のMRD陰性率 (サブグループ解析)

閾値が10⁻⁵、 10⁻⁶のどちらにおいても全サブグループで一貫して、 Isa-KRd群のKRd群に対する優位性が示され、 標準リスク患者およびHiRCA患者においても同様の優位性が認められた。

安全性評価 (Isa-KRd群、 KRd群)

Isa-KRd療法の安全性に関する新たな懸念は認められなかった。

  • 好中球減少症 : 36%、 22%
  • 血小板減少症 : 15%、 17%
  • 感染 : 15%、 11%
  • 心疾患 : 1%未満、 3%
  • 血栓塞栓症 : 3%、 6%

Francesca Gay氏らの結論

多発性骨髄腫患者において、 KRdの導入療法と地固め療法にイサツキシマブを追加することで、 地固め療法を含む全治療段階でMRD陰性率が有意に上昇し、 ハイリスク患者でも同様の結果を示した。 また、 安全性プロファイルも既報と同様だった。 今後の長期追跡によってMRD陰性率とPFS/全生存期間 (OS) との相関について検討していく。

関連コンテンツ

多発性骨髄腫

🔢 SLiM-CRAB (診断基準)

🔢 ISS (国際病期分類)

🔢 R-ISS (改訂国際病期分類)

🔢 R2-ISS (第2改訂国際病期分類)

📘 造血器腫瘍診療ガイドライン2018補訂版

📘 造血細胞移植ガイドライン|MM、類縁疾患

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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