亀田総合病院
9ヶ月前
本コンテンツは昨年11月23日に開催された 「亀田総合病院 呼吸器セミナー2023」 にて行われた講演を基に作成したものとなります。 多くの先生の臨床の参考となれば幸いです。
亀田総合病院 呼吸器内科 部長代理
Oncologic emergencyの4つの症例を提示し、 各疾患に対しての対応や治療を理解する。
※Oncologic emergencyとは
癌に起因した原因で、 急速に臓器障害を起こす可能性があり、 治療の急を要する状態。
肺癌のOncologic emergencyの例
● 腫瘍崩壊症候群 (高Ca血症、 低Na血症)
● 発熱性好中球減少症
● 脊髄圧迫・浸潤、 頭蓋内圧亢進
● 心タンポナーデ
● SVC症候群
● 気道狭窄・喀血
● 尿管閉塞 など
血液検査
Pro-GRP (ガストリン放出ペプチド前駆体)、 LD、 CRP高値、 Hb低値
胸部X線
胸部造影CT
気管支鏡内腔
疑われるOncologic emergencyは・・・・
腫瘍などによりSVCが狭窄もしくは閉塞することで生じる病態。
約95%は腫瘍性とされ、 肺癌、 非ホジキンリンパ腫などが多い。
顔面浮腫脳浮腫、 上肢浮腫、 呼吸困難 (気管狭窄)、 咳嗽などが生じ、 患者のQOL低下を招く。
血液検査
AST/ALT、 LD、 ALP、 γ-GT、 WBC、 Neu、 K、 尿素窒素、 Cre、 BNP、 VB12、 腫瘍マーカー (SLX、 CYFRA、 SCC、 NSE) など高値
胸部X線、 胸部造影CT
疑われるOncologic emergencyは…
正常の場合、 心嚢の中には15~50ml程度の心嚢水が存在するが、 何らかの原因で心嚢腔に心嚢水が増加し、 症状を呈する病態。
●特発性 (26.4%)
●二次性 (上記以外)
感染(7.4%)、 膠原病関連、 悪性腫瘍(25.3%)、 心疾患、 外傷性、 代謝性、 放射線、 医原性 (20.8%)で、 癌性心内膜炎の原疾患は肺癌、 乳癌、 ホジキンリンパ腫が多いとされている。 心膜原発の腫瘍は極めてまれであるが、 中皮腫、 奇形腫などが原因となる。
胸痛、 呼吸困難、 起坐呼吸、 血圧低下、 頻脈、 心膜摩擦音、 心電図異常等が挙げられる。
採血 (心不全徴候あり)、 ECG (頻脈、 低電圧)、 心臓超音波検査、 胸部X線 (心拡大には200ml以上必要、 ) 胸部CT画像
→循環器内科にコンサルト
全身管理、 心嚢ドレナージ、 血液循環料の確保 (輸血、 補液など)を行う。
血液検査
白血球、 Neu、 PG、 CEA、 CYFRA高値、 CL低値
胸部X線
胸部造影CT
腰椎MR
疑われるOncologic emergencyは…
癌が骨転移し、 脊髄に浸潤することで起こる病態。 肺癌、 前立腺癌、 多発性骨髄腫、 乳癌で多く認められる。
疼痛、 支配している神経圧排症状、 膀胱直腸障害、 馬尾症候群等が挙げられる。
圧迫骨折、 膿瘍、 血管奇形、 血腫、 髄膜癌腫症、 放射線性脊髄症
造影MRI
血液検査
白血球、 Neu、 BNP高値だが異常所見はない
胸部X線
胸部造影CT
気管支鏡内腔
※ポイント
気管支内腔に腫瘍が認められていても、 胸部X線で病変が映らないことがあり、 喘息やCOPDと診断される症例もまれではないため、 積極的な画像検査が勧められる
疑われるOncologic emergencyは…
気管・気管支が構造物により狭窄し、 換気に影響が及ぶ病態。
腫瘍 (原発性、 転移性) が最も多い。
気管狭窄の程度や進行速度により異なる。 主症状としては呼吸困難、 咳嗽、 血痰、 喘鳴、 ストライダーなどが挙げられる。
胸部X線、 胸部造影CT、 呼吸機能検査
呼吸器内科をもっと深く学びたい方は 「レジデントのための呼吸器診療最適解」 (医学書院) でぜひ勉強されて下さい!
亀田総合病院 呼吸器内科 初期研修医向けオンライン説明会 3月~4月の案内
一言 : 当科では教育および人材交流のために、 日本全国から後期研修医・スタッフ (呼吸器専門医取得後の医師) を募集しています。 ぜひ一度見学に来て下さい。
連絡先 : 主任部長 中島啓
メール : kei.7.nakashima@gmail.com
Twitter : https://twitter.com/keinakashima1
Instagram : https://www.instagram.com/kei_nakashima7
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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