【JAMA】CT画像所見と呼吸器症状の追加でCOPD診断が向上
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3日前

【JAMA】CT画像所見と呼吸器症状の追加でCOPD診断が向上

【JAMA】CT画像所見と呼吸器症状の追加でCOPD診断が向上
COPDGene 2025診断ワーキンググループとCanCOLD研究者は、 呼吸器症状やCT所見を取り入れた診断基準を用いることで慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の診断精度が向上するかどうかを多施設コホート研究で検討した。 その結果、 新たな診断基準によりCOPD患者の検出が向上し、 同診断基準による分類に予後との有意な関連が認められた。 研究結果はJAMA誌に発表された。

📘原著論文

A Multidimensional Diagnostic Approach for Chronic Obstructive Pulmonary Disease. JAMA. 2025 May 18:e257358. Online ahead of print. PMID: 40382791

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

新たな診断基準では肺気腫や気道壁肥厚の評価にCT画像が必要とされるが、 読影における観察者間のばらつきやCT検査の普及状況の地域差が課題として残ります。

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背景

現行の診断基準には画像異常所見が含まれていない

慢性閉塞性肺疾患 (COPD) のリスクがあるものの、 スパイロメトリーによる気流閉塞が認められない患者でも、 胸部CTの構造的肺疾患所見や呼吸器症状がみられることがある。

一方で、 現行ガイドライン (GL) で推奨されている診断基準には、 画像上の異常所見が含まれていない。

研究デザイン

多次元的診断基準でCOPD患者の検出が向上するか

そこで、 CT画像上の異常および呼吸器症状を含む新たな多次元的診断基準を用いることで、 新たなCOPD患者が特定できるかどうかを多施設コホート研究で検討した。

研究には、 以下の縦断的コホート2件を用いた。

  • 米国のCOPDGeneコホート: 9,416例
  • カナダのCanCOLDコホート: 1,341例

多次元的診断基準には以下が含まれた。

主要診断カテゴリー

主要基準 (気管支拡張後、 FEV1/FVC比<0.70の気流閉塞) に加え、 以下の副基準5項目のうち1項目以上を満たす

  • CTによる肺気腫
  • CTによる気管支壁肥厚
  • 呼吸困難
  • 呼吸関連QOLの低下
  • 慢性気管支炎

副診断カテゴリー

上記の副基準5項目のうち3項目以上を満たす (ただし、 呼吸器症状が他疾患による可能性がある場合は、 肺気腫と気管支壁肥厚の両方を満たす必要がある)

主な評価項目は、 全死因死亡、 呼吸器疾患特異的死亡、 増悪およびFEV1の年間変化量であった。

結果

気流閉塞が認められない患者の15.4%がCOPDに分類

COPDGeneに登録された成人9,416例(登録時平均年齢59.6歳、 男性53.5%、 黒人32.6%、 白人67.4%、 喫煙者52.5%)のうち、気流閉塞が認められない5,250例中811例 (15.4%) が新たに副診断カテゴリーでCOPDと分類され、 気流閉塞が認められる4,166例中282例 (6.8%) がCOPDではないと分類された。

多次元的診断基準によるCOPD分類に予後との有意な関連

多次元的診断基準でCOPDに分類された群では、 COPDではないと分類された群と比べて、 以下の項目いずれでも有意な悪化が認められた。

  • 全死因死亡率
調整HR 1.98 [95%CI 1.67-2.35]、 p<0.001
  • 呼吸器特異的死亡率
調整HR 3.58 [95%CI 1.56-8.20]、 p=0.003 
  • 増悪頻度
調整発生率比 [IRR] 2.09 [95%CI 1.79-2.44]、 p<0.001
  • FEV1の年間低下量
調整回帰係数 [β] -7.7mL/年 [95%CI -13.2--2.3mL/年]、 p=0.006

スパイロメトリーで気流閉塞が認められたが、 新たな多次元的診断基準に基づきCOPDと分類されなかった群は、 気流閉塞のない群とほぼ同じ転帰を示した。

このほか、 CanCOLDに登録された成人1,341例のうち、 多次元的診断基準によりCOPDに分類された群では、 増悪頻度が有意に高かった (調整IRR 2.09 [95%CI 1.25-3.51]、 p<0.001)。

結論

多次元的診断基準でCOPD検出が向上

著者らは 「呼吸器症状、 呼吸関連QOL、 スパイロメトリーおよびCT画像での構造的異常所見を統合した新たな多次元的診断基準により、 COPD患者が新たに特定された。 これらの患者は、 COPDではないとされた群と比べて、 全死因死亡率、 呼吸器特異的死亡率、 増悪頻度、 肺機能低下リスクがいずれも高かった。 気流閉塞が認められたが、 呼吸器症状や構造的肺疾患の所見がない一部の群はCOPDと分類されなかった」 と報告している。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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