海外ジャーナルクラブ
3日前
COPDGene 2025診断ワーキンググループとCanCOLD研究者は、 呼吸器症状やCT所見を取り入れた診断基準を用いることで慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の診断精度が向上するかどうかを多施設コホート研究で検討した。 その結果、 新たな診断基準によりCOPD患者の検出が向上し、 同診断基準による分類に予後との有意な関連が認められた。 研究結果はJAMA誌に発表された。
新たな診断基準では肺気腫や気道壁肥厚の評価にCT画像が必要とされるが、 読影における観察者間のばらつきやCT検査の普及状況の地域差が課題として残ります。
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) のリスクがあるものの、 スパイロメトリーによる気流閉塞が認められない患者でも、 胸部CTの構造的肺疾患所見や呼吸器症状がみられることがある。
一方で、 現行ガイドライン (GL) で推奨されている診断基準には、 画像上の異常所見が含まれていない。
そこで、 CT画像上の異常および呼吸器症状を含む新たな多次元的診断基準を用いることで、 新たなCOPD患者が特定できるかどうかを多施設コホート研究で検討した。
研究には、 以下の縦断的コホート2件を用いた。
多次元的診断基準には以下が含まれた。
主要診断カテゴリー
主要基準 (気管支拡張後、 FEV1/FVC比<0.70の気流閉塞) に加え、 以下の副基準5項目のうち1項目以上を満たす
副診断カテゴリー
上記の副基準5項目のうち3項目以上を満たす (ただし、 呼吸器症状が他疾患による可能性がある場合は、 肺気腫と気管支壁肥厚の両方を満たす必要がある)
主な評価項目は、 全死因死亡、 呼吸器疾患特異的死亡、 増悪およびFEV1の年間変化量であった。
COPDGeneに登録された成人9,416例(登録時平均年齢59.6歳、 男性53.5%、 黒人32.6%、 白人67.4%、 喫煙者52.5%)のうち、気流閉塞が認められない5,250例中811例 (15.4%) が新たに副診断カテゴリーでCOPDと分類され、 気流閉塞が認められる4,166例中282例 (6.8%) がCOPDではないと分類された。
多次元的診断基準でCOPDに分類された群では、 COPDではないと分類された群と比べて、 以下の項目いずれでも有意な悪化が認められた。
調整HR 1.98 [95%CI 1.67-2.35]、 p<0.001
調整HR 3.58 [95%CI 1.56-8.20]、 p=0.003
調整発生率比 [IRR] 2.09 [95%CI 1.79-2.44]、 p<0.001
調整回帰係数 [β] -7.7mL/年 [95%CI -13.2--2.3mL/年]、 p=0.006
スパイロメトリーで気流閉塞が認められたが、 新たな多次元的診断基準に基づきCOPDと分類されなかった群は、 気流閉塞のない群とほぼ同じ転帰を示した。
このほか、 CanCOLDに登録された成人1,341例のうち、 多次元的診断基準によりCOPDに分類された群では、 増悪頻度が有意に高かった (調整IRR 2.09 [95%CI 1.25-3.51]、 p<0.001)。
著者らは 「呼吸器症状、 呼吸関連QOL、 スパイロメトリーおよびCT画像での構造的異常所見を統合した新たな多次元的診断基準により、 COPD患者が新たに特定された。 これらの患者は、 COPDではないとされた群と比べて、 全死因死亡率、 呼吸器特異的死亡率、 増悪頻度、 肺機能低下リスクがいずれも高かった。 気流閉塞が認められたが、 呼吸器症状や構造的肺疾患の所見がない一部の群はCOPDと分類されなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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