HOKUTO編集部
2年前
EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん (NSCLC)に対してはEGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (EGFR-TKI) が有効だが、 ほとんどの症例で耐性化を来す。 かつ耐性例ではHERの発現が亢進することが過去の研究で示されている。
Patritumab Deruxutecan (HER3-DXd) は、 HER3を標的とした抗体薬物複合体 (ADC)。 国内で既に承認されているトラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) と同じリンカーおよびペイロード (ADCに搭載する低分子医薬品) を用いている。
ESMO 2023では、 EGFR遺伝子変異NSCLCに対するHER3-DXdの有効性および安全性を検証した第Ⅰ相試験U31402-A-U102について、 新たなコホートのデータを加えた全生存期間 (OS) も含めた臨床成績が世界に先駆けて公表。 近畿大学病院腫瘍内科特命准教授の林秀敏氏が発表した。
同試験は用量別に4つのコホートに分けられているが、 今回新たに加わったのは、 HER3-Xd 5.6mg/kgを3週ごとに1回投与するコホート3のデータ (102例) である。
全体、 および第三世代EGFR-TKI・プラチナ系抗がん薬による治療歴がある症例グループ (78例、 以下Subset) 別に見た、 OSを含む主な解析結果は以下のとおりだった。
OS中央値 (95%CI)
無増悪生存期間 (PFS) 中央値 (95%CI)
奏効期間中央値 (95%CI)
客観的奏効率 (95%CI)
安全性解析の結果については既報と同様であった。
同薬は米食品医薬品局 (FDA) からは画期的治療薬に指定されている。
現在は同薬の第Ⅱ相/第Ⅲ試験が進行中であり、 林氏は「日本を含む全世界での承認取得を目指し開発が進められている」と述べた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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