【術後評価】Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)
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HOKUTO編集部

9ヶ月前

【術後評価】Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)

【術後評価】Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)
HOKUTOアプリでは、 JCOG公式提供の 「Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)」 を提供しております。 CTCAEと連携しての検索も可能です。 ぜひご活用下さい。

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CTCAE ver5.0|JCOG提供の日本語翻訳版

※Clavien-Dindo分類のアイコンが表示されない先生は、お手数おかけいたしますがアプリストアよりバージョンアップください。

Clavien-Dindo分類とは

JCOG術後合併症規準 (Clavien-Dindo分類) は、 CTCAEでは分類しにくい外科合併症に対して、 近年手術手技の臨床試験で頻用されるようになってきた外科合併症規準 (Clavien-Dindo分類) の原著をもとに、 AE termの共通化、 gradingの詳細の共通化を行った術後合併症規準であり、 JCOG運営委員会の審査・承認を得たものです。

【術後評価】Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)

HOKUTOではJCOGより公式ライセンス提供のもとアプリ対応を行っています。 以下に使用上の注意点と作成の経緯を引用します。

HOKUTOアプリ内の表示イメージ

【術後評価】Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)

各Gradeの要件を正式な日本語訳で表示するとともに、 対応するCTCAEも確認いただけます。


使用上の注意点

本規準は主に術後早期合併症に関連する有害事象に対して使用する。 「術後早期」とは、 原則として初回退院までのことを指す。

Clavien-Dindo分類の原著に記載されている例文は、 いずれも術後早期合併症に関する記載であるが、 退院後に生じる合併症に対しても使用することは可能である。 Gradingの原則は以下に記載した。 なお、 JCOG術後合併症規準 (Clavien-Dindo分類) に当てはまる項目がない場合には、 「その他 (該当するAE termがない場合) 」を選択する。

Gradingの原則

【術後評価】Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)

記載例

【術後評価】Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)

作成の経緯

2009年にCommon Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) が、 v3.0 から v4.0 に改訂され、 CTCAE v4.0 の有害事象名 (AE term) は、 MedDRA (Medical Dictionary for Regulatory Activities) 対応になった。 しかしながら、 特に外科合併症に関しては、 v4.0 では適切な AE term が存在しないケースや、 grading が困難なケースが見られている。 また、 それとは別に 2004 年に術後合併症に特化した外科合併症規準 (Clavien-Dindo分類) が Daniel Dindo らにより提案され¹⁾、 手術手技の臨床試験で頻用されるようになってきた²⁾。

Clavien-Dindo 分類の特徴は、 有害事象ごとに grading の規準が決められているのではなく、 有害事象共通の大まかなgrading の方針のみが決められていることである。 Clavien-Dindo 分類の問題点としては、 AE term が決められていないために、 同じ有害事象に対して試験間で異なる AE term が用いられること、 大まかな目安だけでは grading が困難な項目もあること、 術中合併症には対応していないことなどがある。 そこで、 JCOG 外科系 8 グループの委員で構成した外科合併症規準小委員会を設け、 うち 6 グル ープ (胃がん、 食道がん、 大腸がん、 肺がん、 乳がん、 婦人科腫瘍) によって Clavien-Dindo 分類に対応した術後合併症規準を作成することにした。

本規準は、 JCOG 外科合併症規準小委員会が、 Clavien-Dindo 分類の原著をもとに、 AE term の共通化、 grading の詳細の共通化を行った術後合併症規準であり、 JCOG 運営委員会の審査・承認を得たものである。 ただし、 実際の臨床試験における本規準の使用は、 いくつかの JCOG 試験において CTCAEv4.0 との併用にて開始されたばかりであり、 CTCAEv4.0 による評価との相違点や利点、 欠点の検討はそれらの JCOG 試験の結果が得られた後の課題である。 当面は JCOG においては本規準単独の運用は行わず、 CTCAEv4.0 との併用に限る。

なお、 2018年11月6日付けでCTCAEv5.0が公開されたことに伴い、 JCOG術後合併症規準 (Clavien-Dindo分類)  ver2.0 (CTCAEv5.0対応表) へ更新され、 HOKUTOでも対応が行われました。

参考:作成経緯 (2005年6月版)

JCOGでは、 1998年に米国NCIが公表した共通毒性規準 (NCI-Common Toxicity Criteria:NCI-CTC v2.0) の日本語訳 (第1版1999年4月、 第2版2001年12月) を作成し、 有害事象評価に用いてきた。 しかし、 手術を含む臨床試験における有害事象の評価に必要な術中・術後合併症の多くが、 NCI-CTC v2.0には含まれていなかったことから、 JCOG外科委員会では「JCOG術中・術後合併症規準」 (案) を作成し、 一部の試験で試用を始めていた。

「JCOG術中・術後合併症規準」 (案) が運営委員会審査を経て完成に近づいた2003年になって、 NCI-CTC v2.0の改訂版であるCTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Events) v3.0がNCIから公表されたが、 CTCAE v3.0では手術関連の有害事象項目が大幅に追加されていることが判明したため、 JCOG外科委員会ではCTCAE v3.0を踏まえて「JCOG術中・術後合併症規準」 (案) の大幅な見直しを行った。 検討の結果、 「JCOG術中・術後合併症規準」 (案) で挙げていた項目はほぼCTCAE v3.0で網羅されていることが判明したが、 JCOG外科委員会は、 CTCAE v3.0をそのまま用いることは以下の1~3の点で適切ではないと判断した。

  1. CTCAE v3.0の有害事象名は必ずしも外科領域で一般的に用いられている合併症名と一致していない。
  2. CTCAE v3.0の有害事象項目とGrade定義に当てはめ可能であっても補足説明が必要と思われる合併症があること。
  3. CTCAE v3.0の有害事象項目に当てはめ可能であっても一部のGrade定義が不適切となる合併症があること。

以上より、 JCOG外科委員会は、 CTCAE v3.0のGrade定義を踏襲することを原則として、 外科領域でより一般的な合併症名をCTCAE v3.0の有害事象項目に対応させ、 かつ必要に応じて補足説明を加える形で「JCOG術中・術後合併症規準」として完成させ、 JCOG運営委員会の承認を得た。

JCOG外科委員会:安藤 暢敏、 加藤 治文、 笹子 充、 佐野 武、 高嶋 成光、 坪井 正博、 鳶巣 賢一、 森谷 宜皓、 吉川 裕之、 大津 敦

参考文献

  1. Dindo D, Demartines N, Clavien PA. Classification of surgical complications: A New Proposal With Evaluation in a Cohort of 6336 Patients and Results of a Survey. Ann Surg 2004; 240: 205-13
  2. Clavien PA, Barkun J, de Oliveira ML et al. The Clavien-Dindo classification of surgical complications: five-year experience. Ann Surg 2009; 250: 187-96

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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