【Lancet Haematol】NPM1陽性AML、ゲムツズマブ オゾガマイシン併用で2年累積再発率が低下
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Lancet Haematol】NPM1陽性AML、ゲムツズマブ オゾガマイシン併用で2年累積再発率が低下

【Lancet Haematol】NPM1陽性AML、ゲムツズマブ オゾガマイシン併用で2年累積再発率が低下
Döhnerらは、 NPM1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病 (AML) 患者を対象に、 標準治療に抗CD33抗体薬物複合体ゲムツズマブ オゾガマイシンを併用した際の有効性を非盲検第Ⅲ相試験で検討。 その結果、 主要評価項目に差はなかったものの、 2年累積再発率においては、 ゲムツズマブ オゾガマイシン併用群において有意な低下が見られた。 本研究はLancet Haematol誌において発表された。

📘原著論文

Intensive chemotherapy with or without gemtuzumab ozogamicin in patients with NPM1-mutated acute myeloid leukaemia (AMLSG 09-09): a randomised, open-label, multicentre, phase 3 trial. Lancet Haematol. 2023 Jul;10(7):e495-e509. PMID: 37187198

👨‍⚕️監修医師のコメント

主要評価項目でp=0.1の時の記載に迷うことがあると思います。 差がありそうでない…。 本研究ではThe primary endpoints of short-term event-free survival and overall survival were not met.というような記載をしていますので参考になると思います。

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【Lancet Haematol】NPM1陽性AML、ゲムツズマブ オゾガマイシン併用で2年累積再発率が低下

Gemtuzumab ozogamicin


背景

NPM1が変異したAMLは、 CD33が高発現し、 細胞遺伝学的に中リスクである。

研究デザイン

対象

新たにNPM1遺伝子変異陽性AMLと診断され、 ECOG PS 0~2の患者

介入

患者は以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け

  • 標準治療群:296例
2サイクルの導入療法 (イダルビシン、 シタラビン、 エトポシド) と全トランス型レチノイン酸 (ATRA) の投与を受けた後、 高用量シタラビン (60歳以上の場合は中間用量) とATRAの3サイクルの強化療法を実施
  • 併用群:292例
2サイクルの導入療法とATRAの投与を受けた後、 ゲムツズマブ オゾガマイシン (3mg/m²を導入サイクルの1日目と2日目、 および強化サイクルの1日目に静脈内投与) を併用しながら高用量シタラビン (60歳以上の場合は中間用量) とATRAの3サイクルの強化療法を実施
  • 2サイクルの導入療法 (イダルビシン、 シタラビン、 エトポシド) と全トランス型レチノイン酸 (ATRA) を受けた後、 ゲムツズマブ オゾガマイシンの併用または非併用

主要評価項目

短期無イベント生存期間 (EFS) および全生存期間 (OS)

副次評価項目

長期追跡によるEFS、 完全寛解率、 部分的な血液学的回復を伴う完全寛解 (CRh) 率、 不完全な血液学的回復を伴う完全寛解 (CRi) 率、 再発および死亡の累積発生率、 入院日数など

研究結果

主要評価項目

6ヵ月追跡時の短期EFSに両群で差は認められなかった。

  • 標準治療群:53% (95%CI 47-59%)
  • 併用群:58% (95%CI 53-64%)
HR:0.83 (95%CI 0.65-1.04、 P=0.10)

2年OSについても両群で差は認められなかった。

  • 標準治療群:69% (95%CI 63-74%)
  • 併用群:73% (95%CI 68-78%)
HR:0.90 (95%CI 0.70-1.16、 P=0.43)

副次評価項目

完全寛解率またはCRi率

完全寛解率またはCRi率に差はなかった。

  • 標準治療群:90% (267例)
  • 併用群:86% (251例)
OR:0.67 (95%CI 0.40-1.11、 P=0.15)

完全寛解またはCRh率

完全寛解またはCRh率に両群で差はなかった。

  • 標準治療群:72% (214例)
  • 併用群:67% (195例)
OR:0.77 (95%CI 0.54-1.10、 P=0.18)

一方、完全寛解率はゲムツズマブ オゾガマイシン群で低かった。

  • 標準治療群:58% (172例)
  • 併用群:47% (136例)
OR:0.63 (95%CI 0.45-0.80、 P=0.0068)

2年累積発生率

2年累積発生率はゲムツズマブ オゾガマイシンにより有意に減少した。

  • 標準治療群:37% (95%CI 31-43%)
  • 併用群:25% (95%CI 20-30%)
原因特異的HR:0.65 (95%CI 0.49-0.86、 P=0.0028)

2年累積死亡発生率

2年間の累積死亡発生率に両群で差はなかった。

  • 標準治療群:6% (95%CI 4-10%)
  • 併用群:7% (95%CI 5-11%)
HR:1.03 (95%CI 0.59-1.81、 P=0.91)

全サイクルの入院日数

全サイクルの入院日数には治療群間で差はなかった。

安全性評価

治療関連で最も多かったグレード3-4の有害事象

発熱性好中球減少症

  • 標準治療群:41% (122例)
  • 併用群:47% (135例)

血小板減少症

  • 標準治療群:90% (265例)
  • 併用群:90% (261例)

肺炎

  • 標準治療群:22% (64例)
  • 併用群:25% (71例)

敗血症

  • 標準治療群:25% (73例)
  • 併用群:29% (85例)

治療関連死

治療関連死は4% (25例) に認められ、 そのほとんどが敗血症と感染症によるものであった。

  • 標準治療群:3% (8例)
  • 併用群:6% (17例)

結果の解釈

本試験の主要評価項目である短期EFSおよびOSは達成されなかった。 しかし、 NPM1遺伝子変異陽性AML患者におけるゲムツズマブ オゾガマイシンの抗白血病効果は、 累積再発発生率の有意な低下によって示され、 ゲムツズマブ オゾガマイシンの追加投与がこれらの患者におけるサルベージ療法の必要性を減少させる可能性を示唆している。 本試験の結果は、 ゲムツズマブ オゾガマイシンをNPM1変異急性骨髄性白血病の成人患者における標準治療に追加すべきであるというさらなる証拠を提供するものである。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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