海外ジャーナルクラブ
1年前
Döhnerらは、 NPM1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病 (AML) 患者を対象に、 標準治療に抗CD33抗体薬物複合体ゲムツズマブ オゾガマイシンを併用した際の有効性を非盲検第Ⅲ相試験で検討。 その結果、 主要評価項目に差はなかったものの、 2年累積再発率においては、 ゲムツズマブ オゾガマイシン併用群において有意な低下が見られた。 本研究はLancet Haematol誌において発表された。
主要評価項目でp=0.1の時の記載に迷うことがあると思います。 差がありそうでない…。 本研究ではThe primary endpoints of short-term event-free survival and overall survival were not met.というような記載をしていますので参考になると思います。
NPM1が変異したAMLは、 CD33が高発現し、 細胞遺伝学的に中リスクである。
新たにNPM1遺伝子変異陽性AMLと診断され、 ECOG PS 0~2の患者
患者は以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け
短期無イベント生存期間 (EFS) および全生存期間 (OS)
長期追跡によるEFS、 完全寛解率、 部分的な血液学的回復を伴う完全寛解 (CRh) 率、 不完全な血液学的回復を伴う完全寛解 (CRi) 率、 再発および死亡の累積発生率、 入院日数など
6ヵ月追跡時の短期EFSに両群で差は認められなかった。
2年OSについても両群で差は認められなかった。
完全寛解率またはCRi率
完全寛解率またはCRi率に差はなかった。
完全寛解またはCRh率
完全寛解またはCRh率に両群で差はなかった。
一方、完全寛解率はゲムツズマブ オゾガマイシン群で低かった。
2年累積発生率
2年累積発生率はゲムツズマブ オゾガマイシンにより有意に減少した。
2年累積死亡発生率
2年間の累積死亡発生率に両群で差はなかった。
全サイクルの入院日数
全サイクルの入院日数には治療群間で差はなかった。
治療関連で最も多かったグレード3-4の有害事象
発熱性好中球減少症
血小板減少症
肺炎
敗血症
治療関連死
治療関連死は4% (25例) に認められ、 そのほとんどが敗血症と感染症によるものであった。
本試験の主要評価項目である短期EFSおよびOSは達成されなかった。 しかし、 NPM1遺伝子変異陽性AML患者におけるゲムツズマブ オゾガマイシンの抗白血病効果は、 累積再発発生率の有意な低下によって示され、 ゲムツズマブ オゾガマイシンの追加投与がこれらの患者におけるサルベージ療法の必要性を減少させる可能性を示唆している。 本試験の結果は、 ゲムツズマブ オゾガマイシンをNPM1変異急性骨髄性白血病の成人患者における標準治療に追加すべきであるというさらなる証拠を提供するものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。