HOKUTO編集部
29日前

2026年9月12~15日に韓国・ソウルで世界肺癌学会 (WCLC 2026) が開催されました。 本稿では名古屋市立大学病院呼吸器・アレルギー内科教授の赤松弘朗先生に、 同会における肺癌領域の注目演題と、 発表内容から感じられた印象についてご解説いただきました。

WCLC 2026は、 米国臨床腫瘍学会年次総会 (ASCO 2026) とは対照的に、 標準治療を変え得るデータが数多く報告された 「当たり年」 でした。 なかでも、 以下の3演題は特に重要であったと考えます。

また、 これらを実臨床へ導入するうえでは、 予防的全脳照射 (PCI) を省略した場合のMRI検査の実施間隔や、 HER2変異陽性例に対する化学療法と免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の併用療法が、 期待されたほどの効果を示していない可能性など、 考えさせられる点も多くありました。
本稿では、 上述した3つの重要演題に加え、 未承認ながら今後の標準治療を変え得る薬剤や、 標準治療の変更には至らないものの注目すべき演題をご紹介します。
SCLCでPCIを省略できるか
1次治療後に脳転移を認めない小細胞肺癌 (SCLC) を対象にPCIを省略してMRIサーベイランス単独とする戦略を検証したMAVERICK試験では、 MRI単独群でPCI併用群より認知機能低下なし生存期間 (CFFS) が有意に改善しました。
EGFR ex20ins陽性例で化学療法+アミバンタマブはOSを延長させるか
EGFR exon20挿入変異 (EGFR ex20ins) 陽性の未治療進行非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象としたPAPILLON試験のOS最終解析では、 アミバンタマブ+化学療法群と化学療法単独群の間に有意差は認められませんでしたが、 クロスオーバーの影響を調整した解析で有意な延長が示されました。
HER2変異陽性例の1次治療は何がよいか
HER2変異陽性の未治療進行NSCLCを対象に、 トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) 単剤とペムブロリズマブ+プラチナ製剤ベース化学療法を比較したDESTINY-Lung04試験では、 主要評価項目のPFSはT-DXd群で有意に延長した一方、 OSの延長は認められませんでした。
未承認ながら今後の標準治療を変え得る薬剤として、 抗PD-1/VEGF二重特異性抗体のivonescimab、 ex20ins選択的TKIのzipalertinib、 選択的ROS1-TKIのzidesamtinib、 B7-H3標的抗体薬物複合体 (ADC) のTam-Peliなどが登場しています。
中国のみで進んでいる第Ⅲ相試験も多くなり、 日本の立場は依然として低下傾向にあります。
なお、 標準治療に影響はないものの、 術後補助療法におけるオシメルチニブの長期予後 (ADAURA) や、 タルラタマブの投与間隔変更 (DeLLphi-309) は貴重なデータでした。
2026年10月に開催される欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2026) でも、 注目すべき報告が複数予定されていると聞いています。 今年後半は、 非常に熱い展開となりそうです。
また、 本年12月に開催される第67回日本肺癌学会学術集会では、 「Year in Review」 セッションも予定されています。 ぜひこちらにもご参加ください。
【WCLC 2026 速報まとめ】疾患別 注目演題レポート12選
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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