HOKUTO編集部
4ヶ月前
本連載は4人の腫瘍内科医による共同企画です。 がん診療専門医でない方でもちょっとしたヒントが得られるようなエッセンスをお届けします。 第19回はがん研究会有明病院・三浦裕司先生から、 「外来で夫婦喧嘩勃発!こんな時どうする?」 です! ぜひご一読ください。
化学療法を受療中の転移性固形がんの患者さんが、 外来で奥さんと夫婦喧嘩を始めてしまったーー。 そのような経験、 皆さんも一度や二度はあるのではないでしょうか?
患者さん👨
「先生、 治療開始してからずっとお酒を我慢していたんだけど、 少しだけ飲んじゃダメかなぁ」
奥さん👩
「この人、 私が言っても全然聞かないんです!先生からダメって強く言ってやってください」
患者さん👨
「何でもかんでもダメダメ言ってうるさいんだよ、 こんなんじゃ、 息が詰まっちまうよ!」
医師 (心の声) 👨⚕️
「 (今日は、 まだまだ診察予定の患者さんが沢山いるのに…こんな時にこんなところで夫婦喧嘩、 勘弁してほしいな…) 」
…このような場面で、 医師としてどのように対応すべきでしょうか?
がんの種類や治療の状況によっては、 適量の飲酒であれば問題ない場合もあるため、 そのようなケースでは 「飲みすぎなければお酒も大丈夫ですよ」 と伝えることも良い選択だと思います。 しかし、 もう少しお互いの気持ちに踏み込んだアプローチをすることで、 治療のサポート体制をより強固にできるチャンスにつながるかもしれません。
私がよく使う手は下記のような対応です。
患者さんへのアプローチ
「傍で見守っているご家族は、 治療を受ける当事者でないからこそ、 より一層心配になってしまうことが多いんです。 それに、 ご家族も随分と治療のサポートをされていますから、 つい口を出したくなるのも無理はありません。 その気持ちも少しだけ理解してあげてくださいね」
ご家族へのアプローチ
「奥様が心配する気持ちはよく分かります。 ただ、 1番頑張っているのはやはりご本人ですから、 たまには息抜きしたいと思うのも自然なことです。 そして、 実は誰よりも患者さん自身が一番、 ご家族の存在の有り難みを理解しているのではないでしょうか。 つい口を出したくなる気持ちも分かりますが、 ときには少し甘めに患者さんの気持ちを尊重してあげても良いかもしれません」
両者へのアプローチ
「お2人とも、 お互いを思いやってのご意見ですから、 お互いに少しずつ歩み寄っていただけると嬉しく思います」
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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